diary

森薫『乙嫁語り』

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)作者: 森薫出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2009/10/15メディア: コミック購入: 59人 クリック: 1,445回この商品を含むブログ (434件) を見る ヒロインの身体を覆い尽くす装飾文様が緻密であればあるほど、それを追う視…

山本弘『アイの物語』

アイの物語 (角川文庫)作者: 山本弘出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2009/03/25メディア: 文庫購入: 25人 クリック: 168回この商品を含むブログ (107件) を見る 山本弘といえばソードワールド短編集の作家という認識。といっても、ソードワールド…

どうにもならなそうなこと

趣味の壁は三次元の壁と同じくらい高い。言葉で伝わること、説明して説得できることのさらに先に趣味の領域がある。 以前に仕事でご一緒させていただいた関係で招待券をもらい、上坂すみれさんのライブに行ってきた。オタクイベントに行くのは2,3年前のかわ…

言葉の上滑り

描かれていることよりも描かれなかったこと(わざと黙っていたことではなく)が気になるときというのは、何か別のものを欲して無いものねだりをしているときであって、読み手としてはだめなときなのだけど、一期一会なのでたまには覚え書きくらいは残しておこ…

石川博品『平家さんと兎の首事件』

平家さんと兎の首事件作者: 石川博品発売日: 2015/12/28メディア: Kindle版この商品を含むブログ (3件) を見る コミケは3日目に用事が入ったので、結局2日目に行って石川センセの平家さん小説だけを買ってきた。その後、秋葉原に行って普段の職場近辺では見…

自分だけでは残せない自分だけの記号に

「宇宙のステルヴィア」に続いて「響け!ユーフォニアム」を一気に見た連休だった。自分が渦中にいるときは無我夢中で余裕なんてないし、楽しくて美しい瞬間なんて本当は数えるくらいしかないないのだろうけど、その後に残る痕跡を通して、いつかその日々を…

文学の外側に広がる領域

滝本竜彦のウェブサイト(http://tatsuhikotakimoto.com/)を読んでいた。「光の小説」というスピリチュアルなライト(光)ノベルを連載していて、NHKにようこそも含むこれまでの作品に対する率直なコメントもあったりして面白い(例えばこことか)。一時期は小…

へっぽこエロゲーマー

残響さんの「エロゲーマー諸子百家」シリーズに取り上げていただいて恐縮である。なんだか僕がこうありたいなと思うところをかっこよく拾いあげてもらったみたいで、かなり強そうな人になっていて照れる。僕に二律背反だったり謎だったりする部分があるとす…

ついでに

ついでに書く機会を逃してしまったのを挙げておこう。 田中ロミオ『人類は衰退しました 平常運転』:もう終わったと思っていたので書店で偶然見つけたときには幸運に感謝した。「おふたりさまで、業務活動記録」と「旅の手土産に最適なもの」が特に感慨深かっ…

then-dさんの訃報

初めてそのご活動を知ったのは「永遠の現在」に東浩紀が寄稿するということで、どんな論集なのだろうと関心を持ったところからだったと思う。動ポモからエロゲーに入り、レビューサイトや2ちゃんねるの葉鍵板をなんとなく徘徊していた自分には、ついに硬派な…

声の魔法(エロゲーソング雑感)

ゲームの方がなかなか進まないので代わりになんとなく。疲れた仕事帰りとかに聴いている曲について。 クドわふたーのone's future(OP曲)とかFragment Kud.verとか、しゅきしゅきだいしゅきのしゅきしゅきちゅ〜いほう!(OP曲)とか、ロリソングにいい曲が…

唐辺葉介『つめたいオゾン』

つめたいオゾン (富士見L文庫)作者: 唐辺葉介,usi出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房発売日: 2014/09/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (7件) を見る 『電気サーカス』のようにただ流れていく物語もいいけど、本作のように形式を工芸品的に洗練させ…

石川博品『四人制姉妹百合物帳』

もっと若いころに読みたかった。そうしたら何か違っていたかというと分からないが、だらしないおっさんになってから読むと眩しすぎて、優しすぎて、心苦しさを覚える。ネルリと同じ、ハイテンションなコメディから始まって時間の流れに打ちのめされる展開。2…

田中ロミオ『人類は衰退しました』9巻

人類は衰退しました (9) (ガガガ文庫)作者: 田中ロミオ,戸部淑出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/06/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (22件) を見る 1巻が出たのが7年前の2007年。完結してしまったのが名残惜しくて、1巻から順番にどんな話だったか…

冬の終わりに

ブログを始めてちょうど8年、最近はめっきりペースが落ちてしまったが、平均して週に1回くらいはエロゲーの感想を中心に書いていたらしい。アクセス数が30万になった。家はなくなってしまうが、せめてブログくらいは引っ越さずに続けていきたい。ロシア語を…

冬に時間は流れるか

「凪のあすから」は陰影に富んだ青がきれいな作品だ。後半に冬が舞台(というか時代?)になってから、地上は古びてひんやりとした田舎町になって、海の中も廃墟のようになってしまった。5年の時間が過ぎた間に、みんなの思いはまわりの風景ほど劇的に痛ましく…

星空めてお『ファイヤーガール』

ファイヤーガール 1 虚惑星の魔法使い 上巻 (書籍)出版社/メーカー: TYPE-MOON BOOKSメディア: おもちゃ&ホビーこの商品を含むブログ (3件) を見る(アマゾンではない巻もあるようなので一応公式も) 『謀略のズヴィズダー』がどうやら立川あたりを舞台にし…

歌詞のこととか

残響さんにご返事を書いていたら長くなってしまったので、読みやすいように別エントリに。 書き込みどうもありがとうございます。 キモいさんの意味づけについては、作中ではそういうメタな言及は直接はないし、無理に意味づける必要もないのですが、自分の…

花澤香菜『claire』

claireアーティスト: 花澤香菜出版社/メーカー: アニプレックス発売日: 2013/02/20メディア: CD クリック: 35回この商品を含むブログ (36件) を見る それにしても花澤さんのような人が声優として引っ張りだこになって、その声が生かされるようなキャラクター…

石川博品『後宮楽園球場』

後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール (スーパーダッシュ文庫)作者: 石川博品,Wingheart出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/12/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (23件) を見る 後楽園球場に「宮」(睾丸の除去、あるいは貴人の住処)を加えた小…

福嶋亮大『復興文化論』

復興文化論 日本的創造の系譜作者: 福嶋亮大出版社/メーカー: 青土社発売日: 2013/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (19件) を見る 前著に続いて刺激的な内容の本だった。ただし後書きにあったとおり、日本文化論といった趣きが強く、別に復興とい…

唐辺葉介『電気サーカス』

電気サーカス作者: 唐辺葉介出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2013/11/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る ネットで日記めいた文章を書くことに関する鬱屈といわゆる社会的な自分探しを扱った日記体の…

西尾維新『終物語』

終物語 (上) (講談社BOX)作者: 西尾維新,VOFAN出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 数学小説ってジャンルがあるのかしらないけど、数学と小説の形についてちょっと考えたところだったので…

石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』

ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)作者: 石川博品,切符出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2013/07/29メディア: 文庫この商品を含むブログ (31件) を見る 確かネルリが出たときに、こんなマニアックな設定ではなくてもっと普通の高校生の学…

消化(チェルノブイリとか震災とか)

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1作者: 東浩紀,津田大介,開沼博,速水健朗,井出明,新津保建秀,上田洋子,越野剛,服部倫卓,小嶋裕一,徳岡正肇,河尾基出版社/メーカー: ゲンロン発売日: 2013/07/04メディア: 単行本(ソフトカバー)…

NieA_7とか

アニメの感想はうまく書ける気がしないので書かないことにしているのだが、近年はニコニコ動画で無料で見られるのを中心にけっこう見ていて、生活のリズムの一部になっている。傑作といえなくても、そこそこ面白いアニメ(今なら進撃の巨人とかレールガンとか…

走る列車から跳びだして

ツイッターで流れてきたリンクを何気なく開けてみたら、昔モスクワで話をしたことがある若手作家の人が何か書いていて、この人メディアによく出るようになったなあと思いつつ読んでみたら、最近オランダで自殺した反体制活動家の遺族に話を聞きにいったルポ…

声の力

マインディアの詳細が語られたレビューを読んで同人の音声作品(「爆乳洗脳術」と「くノ一の末裔」)を買ってみて、新たな世界を開いた。この方は本当に作品を紹介するのがうまい。 思えばKiss+100のBGMのない一人語りのドラマCDにはお世話になっているが、こう…

再考ロシア・フォルマリズム

再考 ロシア・フォルマリズム―言語・メディア・知覚作者: 貝澤哉,中村唯史,野中進出版社/メーカー: せりか書房発売日: 2012/09メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見るなんかうまく書影が出ないのでリンクを貼り。 ロシアの文学研…

高野史緒『カラマーゾフの妹』

カラマーゾフの妹作者: 高野史緒出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/02メディア: ハードカバー購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (53件) を見る なってないよと叩くことは簡単だけどもそれで溜飲が下がるわけでもなく、カラマーゾフの兄弟…