エヴァンゲリオン10巻

新世紀エヴァンゲリオン (10) (カドカワコミックスAエース)
 アニメ版に比べてアクションシーンはいまいちなんで、最初のほうは普通にぱらぱら読んでいたけど、途中からやはり引き込まれていく。人間の顔がいい。ひとコマひとコマ丁寧に、微妙なニュアンスを持った顔が描かれていて、顔の表情が画一的に誇張されたり顔よりも身体やコマの動きに比重が置かれることが多いマンガというジャンルにおいては貴重な気がする。そのため、エヴァの場合は顔をゆっくり見ながら読み進むことになって、あの世界の空気が自分の中で反響される。抽象性と肉感性のバランスが絶妙な線なので、気持ち悪くなったり味気なかったりすることもなく、時々手にとって読み返してしまう。この10巻もそうなりそう。あの「気持ち悪い」の雰囲気は巻を追うごとに強くなり(ただしあんなに攻撃的じゃなくて、もっと優しくて内省的な感じ)、それに合わせるようにキャラクターの顔の表情や線が繊細さを増していく。作者さんの挑戦は続きますね。あと顔のふっくらした子供レイよかった。

 そういえば10巻は、アスカが出ない代わりにレイがたくさん描かれていて重要な巻でもある。
 前半の使徒戦のエピソードを読み返してみた。レイと融合した使徒を斬りつけるシーンがすごかった。アニメのカヲルを縊り殺すところとオーバーラップしてて、なんともやりきれない。自爆してしまう瞬間のシーンもきつい。