唐辺葉介『PSYCHE』

PSYCHE (プシュケ) (スクウェア・エニックス・ノベルズ)

　瀬戸口廉也が書いたという噂の小説、地元の本屋に奇跡的にあった。確かに似ている。キラ☆キラで描かれた幻覚とか自暴自棄な感じとかを髣髴とさせる。CARNIVALの小説のように救いがない。｢〜だけど｣を頻発しすぎてたりして文章はちょっとゆるめ。小粒な話ではあるけど、こうやって暗い話がぽんと剥き出しに放り出されている存在感は好きなので、スワンソング再発売を前にちょうどよかった。
　本当に瀬戸口廉也＝唐辺葉介かどうかは別として、CARNIVALやキラ☆キラがよかったのはエロゲーの形式（特に音楽）があったからという部分が大きいわけで、今回の小説ではその分パワーは弱い。スワンソングは音楽がいいという評判はあまり聞かないなので、そこは期待できないのだろうか。
　田中ロミオのAURAとは期せずして内容もタイトルも対になっている。良子は痛いが藍子も本物だ！