シャルノス開始

 昔ハマっていた世紀末文化の雰囲気がよく出ていてなつかしい。鉄とガラスのクリスタルパレスの驚きから時は経ち、蒸気と鉄と煤に町は蝕まれ、ホラーものが流行し。ビアズリーをこっそり読む女学生とか、いかんだろ。ヨカナーンで恥ずかしがるとか。残念ながら世紀末のロンドンはあまり知らないので、どちらかというと1900年代のペテルブルクのイメージを重ねて読んでいるけど、違和感はない。仮面をつけたフリーメーソンもどきとか石畳の上を追いかけてくる足音とか、「タタールの門」みたいな黄禍論とか、反復の多い構文とか、ベールイの『ペテルブルク』(1907-10年ごろが舞台だったような)のパラノイア的な世界によく似ている。スチームパンクやサイボーグのモチーフもこの時代には出揃っていて、10年後の革命の時代には本気で実用化が試みられることになる。まだ始めたばかりだけど、この後もいろいろ懐かしいものが出てくることは期待していいのだろう。ベールイの『交響楽』シリーズみたいに、音楽の理論を使った奇妙なテクストとかあったりしたら嬉しすぎる。
 そしてベールイとは違って、女の子が主人公というのが素晴らしい。家事が効率よくできなくて暗い気持ちになるとか、なんだか身につまされる。でも内向的で健気で(ビアズリーやワイルドは読むが)可愛い。このメアリがエッチしたらなんだか寝取られた気分になりそうなので、一人でお風呂に入っているCGで先に抜くべきなのではと悩んだくらいだ。