漆黒のシャルノス (80)

プレイ日記1:http://d.hatena.ne.jp/daktil/20090315
プレイ日記2:http://d.hatena.ne.jp/daktil/20090321
 終わった。終盤の展開がちょっと間延びした活劇物っぽくなってしまいだれたけど、素晴らしい作品だった。特にメアリのエッチ(?)シーンはかなりの驚き。ワンクリックごとにウィンドウを消して、メアリの言葉を聞きながらCGと見つめ合ってた。明らかに実用向きではないのに、作品の中では不可欠なあのこちらを見ているメアリのCG。作品のテーマ的にも構造的にも、相当強かった。このシーンのおかげで、続くMのテーマにもかなり厚みができた気がした。それにしても、トラウマもののメアリの迫力のおかげで、恐ろしくて使おうにも使えないはどうしたものか・・・。メインヒロインを恋愛のテーマから外してしまったことで、この作品は何を手に入れることが出来たか。前を向いて生きるというそれこそ前向きなテーマをくもりなくぶれずに描けたこと、かなあ。そんな健全なテーマも、人間の不健全な願望をじっくり描くための保険だったというか。もともとメアリはとても明るくて前向きな子供だったはずなのに、この作品では次から次へと人間のほの暗い情念の悲劇に巻き込まれていく様は、なんだかエヴァやmoon.で大人たちが主人公を追い込んで追い込んで何かに目覚めさせようとしていたのと似た感じがした。象徴主義の詩や小説を思わせるような、意味の曖昧なぶれや反復に富んだ催眠的なテクストは、あの時代の不安と鬱屈を漂わせているというかそんな感じで、その暗い情念たちがメアリに救って欲しくて、連れ出して欲しくてそんなひねくれた姿になってしまったんだよなあというか、シナリオの一見歪な形がうまく機能しているというか。僕自身はそういう暗い情念には弱い人間だし、象徴主義的な雰囲気や仕掛けも好きだったので、この作品の中でメアリといっしょに嫌味なく一喜一憂しながら最後まで進めたのはよかった。主人公が男だったらおそらく碇シンジの物語のように気持ち悪めな印象になっていたかもしれないけど、メアリはよかった(声からしてよかったし)。幼稚な感想で我ながら残念だが、たくさん悲しいものを見たメアリだから、最後には安らぎと明るさを手にすることが出来たのは、やはり嬉しかった。