Только моя Кудрявка (妄言)

 クドわふたーの店頭デモムービーはひどかった。クドリャフカ自身は悪くないのかもしれないが、作り方が狙いすぎていてとにかく気持ち悪かった。作り声と舌足らずな話し方が内輪向けに媚びた感じを漂わせ、しかもなんだかんだいってよく通る声だから、店の中で何度も繰り返されるといちいちうるさかった。
 ところが、ゲームを始めて1分もするとあっさりKOされていた。クドリャフカの可愛さは圧倒的というか、いちいち人の弱点を突いてくるというか、やさしすぎて癒されるというか、なんかよく分からないけど全面的に信用してしまった。開始15分くらいで「もい・ぷりんつ」と不意に言われたときには、既に8800円分の元が取れた気になった。
 本当によく出来ている。僕がロシア人の現実の女性に足りないと勝手に想像しているものが、クドリャフカにはありすぎるくらいにある。ちょっと古臭い日本的(?)な奥ゆかしさ。素直さ、劣等感を克服するための謙虚な努力、穏やかな内面、静かな空想。日本やロシアに限らず誰にでもあるのだろうけど、今の生活の条件の中ではどれも失われたり、磨り減ったり、何か別のものに変質したりするような気がするものだ。クドリャフカは素直に育ったように見える。それが本人の資質によく合っているようなのが嬉しい。まだ1時間くらいしか進めていないせいかもしれないが、考え出したらどこまでも美化してしまえそうだ。日本とロシア(?)の間に放り出されて苦労するというその立ち位置も健気でかわいい。彼女の外見的な美しさも、彼女が引け目を感じているだろう部分も、その変な声も、すべてが可愛い。どんなことがあってもクドリャフカは決して悪くない。ストーリーがどう進むかわからないし、ひょっとしたら後でつまらなくなって幻滅することすらあるかもしれないけど、だからこそ今こう書けるときに書いておきたい。クドリャフカは僕にとってはなんだか奇跡的なバランスを保っている。天使のような女の子を夢見させてくれる。