- 作者: 十文字青,ま@や
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2010/07/17
- メディア: 文庫
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先述の批評本によれば、物語をひとつの「問題」を解いて、あるべき全体性を回復し、受け手の自己同一性や統一的な世界観の全一性を確認するための過程と捉えるのは、作品を痩せ細らせる感心できないことなのだそうだ。そういう「問題」設定として作品を作る創作者にもだめだししなきゃならないらしく、どちらかというその辺には自覚的であるはずの大江健三郎とか江藤淳とかが批判されている。じゃあどうすりゃいいのというととたんになんだか筆が鈍るのが著者の残念なところ。「表面」とか「現実」に驚くことだそうだ。読者の側で「制度」に回収されないように作品をこじ開けていくことなのだろう。窮屈な話だし、ある意味思考停止と隣りあわせだが、確かに作品を何かの教訓話みたいに読み解いてしまうよりはましなのだろう。…という点から萌神を見てみると、うーん、リアルとも言えるのか?もっと食い違いを誇張して不条理にまでいっていたら面白かったかもなあ。でもそれだと不条理という制度に収まってしまうのか。
伊藤ヒロ氏のアンチ・マジカルは1巻では中途半端なところで切れていて残念。プロットはいいからテーマ的なものを展開してほしかった。あと主人公の魔法少女姿は可愛い。