声の力

 マインディアの詳細が語られたレビューを読んで同人の音声作品(「爆乳洗脳術」と「くノ一の末裔」)を買ってみて、新たな世界を開いた。この方は本当に作品を紹介するのがうまい。
 思えばKiss+100のBGMのない一人語りのドラマCDにはお世話になっているが、こういう音声作品の系譜なのだろう。構成要素やバリエーションの可能性の限られたミクロな世界で、「不純物」になりうる中身の薄い「日常シーン」もなく、みっちりとエッチな音声に集中するというのは隠微な親密さを味わえて面白いが、単なる性風俗に落ちそうな危うさがある。音声ファイルと同梱されているCGがリアリティを支えている部分もあって、絵の力はやはり侮れない。上記2作では特に「くの一」の方のシンプルなエロさがよかった。伊東もえさんの声がよかった。
 音声作品にはCGの他に「台本」のファイルも同梱されていて、思い立ってこの台本を改造して同人声優さんに自分専用の音声作品を作ってもらうことにした。ちゅぱ音とか喘ぎ声とか、とても自分でゼロから書くのは無理なので台本があるのはありがたかった。
 一番の目的は、本名をたくさん呼んでもらってエロい声を堪能したいという弁護のしようもない煩悩まみれの欲求で、あらためて自分で書いた台本を見ると声優さんに申し訳なくなる。言い訳じみた宗教ネタを入れて少しストーリーと設定を工夫しては見たけど、性欲丸出しであることには変わりなく、次に進もうにもまずはこの願望を叶えてみないと始まらないと自分に言い訳。「萌えボイス」というサイトには600人以上の声優さんが登録されており、相当な時間をかけて200人ほどのボイスサンプルを聞いた中からこれぞという人を選ぶ執念に我ながら感心し、思い切って申し込んでみて、演出や設定に関する声優さんとのやりとりの細やかさにちょっと感動している。これが2回目3回目と慣れればもっと違ってくるのだろうか。まだ作品が出来上がっていないのでどうなるか分からないが、1文字2円の方に5000字弱をお願いしたのでエロゲー1本分強ですみ、十分お手頃な楽しみのような気がする。感想はたぶん書かないけど(書いて切り離したくない)、まあ万が一何か書いておいた方がいいことでもあれば。それにしてもこういうニッチな産業(しかもまだ発展途上)があるのを目にすると、性欲ってのはすごいなと思う。