雑記

 たまごまごごはんさんのロリコン向けの映画やマンガの紹介リストの中に聞き覚えのある意外な名前があって、これも何かの縁かもということで、ちょっと高かったが見てみた。

 確かに映像詩人と称されるような人の作品だけあって丁寧に撮影されている感じはしたけど、タルコフスキーソクーロフのようなインパクトはなく、いまいち期待はずれだった。スペインのことはほとんど何も知らないのでいろんなサインを見落としているんだろうけど、「挑戦」は、特に(エリセ担当じゃないけど)第2章の最後の歌のシーンとか、当時のヒッピー文化か何かのメッセージをストレートに出していたのが面白かった。「エル・スール」は「ミツバチのささやき」の次の作品ということで期待していたけど、普通の話を無理に「映像詩」にしているような感じがしていまいちだった。スペインの野暮ったさは、スペイン人の背の小ささと顔のむだな濃さと結びついているような気が、昔スペインに小旅行をしたときからしていたけど、この作品にはそういう田舎臭いところがあって「映像詩」と呼ぶのはためらわれる。後半では父親は未練がましいエロ親父だし、エストレリャも青臭い生意気な女の子になってしまっている。その点、「ミツバチのささやき」は主人公の美幼女アナのおかげで、評判どおりのとても綺麗な作品として成り立っている。その美しさはロシアの監督たちのような生真面目な芸術家気質のものではなく、井口奈己が証言しているように、当時の女子高生に受けてファッションを真似させるようなキャッチーに脱臭された綺麗さがある。アナの顔の美しさは三次元の濃さを嫌って二次元を愛でるオタクの神経でも耐えられるような美しさで、そういうセンスは現代は割と浸透しているものだから、この作品の美しさは発表された1973年には衝撃的だったかもしれないが、今ではテレビのアイドルたちやピクシブのイラストや、2ちゃんねるロリコン向け画像スレとかから気軽に摂取できそうな感じがする。そういう美幼女の神秘的な心の動きを丁寧に撮った作品としては確かによい作品だと思う。

 現実は重いし濃い。最近は残業が増えて、金は要らないから早く帰らせてくれという日々が続いていたのでエロゲーはほとんどやっていない。なんとなく読んでみた丸谷才一の小説(『女ざかり』)は、さすがに筆は滑らかだったけど下世話な風刺小説だった。もうちょっと自分で楽しいことを見つけて、月森さんのような元気の出る文章を書けるようになりたいものだ。このままでは閉塞して消耗して終わりそうな気がする。