2014-01-01から1年間の記事一覧

then-dさんの訃報

初めてそのご活動を知ったのは「永遠の現在」に東浩紀が寄稿するということで、どんな論集なのだろうと関心を持ったところからだったと思う。動ポモからエロゲーに入り、レビューサイトや2ちゃんねるの葉鍵板をなんとなく徘徊していた自分には、ついに硬派な…

月に寄りそう乙女の作法 (70)

今年はシベリアで石炭が何万トン取れそうだとか、東ウクライナの内戦でアゾフ海の港からの鉄鋼の輸出に問題が出るんじゃないかとか気にしている人間にとって、服なんて別にユニクロでいい、むしろユニクロでさえ贅沢であって、下着とワイシャツ以外の服を最…

声の魔法(エロゲーソング雑感)

ゲームの方がなかなか進まないので代わりになんとなく。疲れた仕事帰りとかに聴いている曲について。 クドわふたーのone's future(OP曲)とかFragment Kud.verとか、しゅきしゅきだいしゅきのしゅきしゅきちゅ〜いほう!(OP曲)とか、ロリソングにいい曲が…

唐辺葉介『つめたいオゾン』

つめたいオゾン (富士見L文庫)作者: 唐辺葉介,usi出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房発売日: 2014/09/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (7件) を見る 『電気サーカス』のようにただ流れていく物語もいいけど、本作のように形式を工芸品的に洗練させ…

大図書館の羊飼い Dreaming sheep (60)

おとぎ話がないのなら、主人公が甲斐性を発揮して女の子を幸せにしてあげられないと話が回らない。だから主人公はがんばるし、ふさわしい幸せも手に入れるのだけど、僕としてはそんな彼を見ても大変そうだという感想が先にたってしまうのかもしれない。自分…

石川博品『四人制姉妹百合物帳』

もっと若いころに読みたかった。そうしたら何か違っていたかというと分からないが、だらしないおっさんになってから読むと眩しすぎて、優しすぎて、心苦しさを覚える。ネルリと同じ、ハイテンションなコメディから始まって時間の流れに打ちのめされる展開。2…

大図書館の羊飼い (60)

流行りのイケメン主人公の全能感をくすぐる設定に若干息が苦しくなる。「反射的に俺は右手を伸ばす。『……え?』 そして彼女[まだ結ばれる前の望月会長]の頭を撫でていた」という超人である。トラウマ設定とか人格障害とか出てきてもあまり説得力ない。下か…

Fate/hollow ataraxia (70)

Fate/stay nightの話をだいぶ忘れてしまった上に、かなり漫然とプレイしてしまって、申し訳ないけど理解しきれていないと思う。個々のフレーズにしてもそうだし、それ以外でも例えば、ライダー、ランサー、キャスター、葛木の回想があったけど、なぜいまさら…

ギャングスタ・アルカディア (60)

前作の感想:http://d.hatena.ne.jp/daktil/20130811 選択肢にもあったけど、ループがあることが善いか悪いかという問題なのではなく、ループは一度生じてしまったらそれが存在しないような世界も想像させる可能性を生まざるをえない、反省的な代物であり、…

[少女]キラ☆キラ ちょっと再プレイ

運動不足で太り始めて汗っかきになったおっさんが、何だか無性にキラ☆キラのBGMが聞きたくなって、ゲームを起動してしてそのままずるずると久々に再プレイした(ついでに、この際BGMを抽出してサントラを作り直した。やっぱり何度も聞きたくなってしまい、通…

魔女こいにっき (75)

「物語」というのは便利で安易な言葉で、僕もエロゲーの感想でしょっちゅう使っている。あえて一歩踏み込んでみると、これは「語られたもの」であり、語るというアクションを意識させるものであり、実際に起こった出来事やその論理よりもむしろそれが語られたと…

田中ロミオ『人類は衰退しました』9巻

人類は衰退しました (9) (ガガガ文庫)作者: 田中ロミオ,戸部淑出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/06/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (22件) を見る 1巻が出たのが7年前の2007年。完結してしまったのが名残惜しくて、1巻から順番にどんな話だったか…

Pretty x Cation (45)

エロゲーを海外では「デート・シム」ということがあるそうで、それを聞いたときには自分がパソコンでデートの練習をしているかのようなまとめ方に反感を覚えたものである。エロゲーが物語を失ったとき、残ったのはヒロインの出現先や趣味を追いかける作業と…

翠の海 (65)

翠色は寒くて温かい。 すべてが終わって重苦しい記憶と汚れた手が残されても、みちるはやってきたことを後悔せずに、精一杯やり通したことと良い出会いがあったことに感謝しているというのがありがたい。大人がいない舞台、大人がお金だけ出したゴミ捨て場の…

冬の終わりに

ブログを始めてちょうど8年、最近はめっきりペースが落ちてしまったが、平均して週に1回くらいはエロゲーの感想を中心に書いていたらしい。アクセス数が30万になった。家はなくなってしまうが、せめてブログくらいは引っ越さずに続けていきたい。ロシア語を…

冬に時間は流れるか

「凪のあすから」は陰影に富んだ青がきれいな作品だ。後半に冬が舞台(というか時代?)になってから、地上は古びてひんやりとした田舎町になって、海の中も廃墟のようになってしまった。5年の時間が過ぎた間に、みんなの思いはまわりの風景ほど劇的に痛ましく…

コトバの消えた日 (75)

きれいに収めてしまった終盤の展開の是非はともかく(まさか露出ゲーで花散谷山人考に繋がるモチーフが出てくるとは思わなかったが)、露出をめぐる味わい深いお話だった。 露出では視覚が圧倒的な優位にあり、その意味では画面を介してヒロインと接するエロ…

星空めてお『ファイヤーガール』

ファイヤーガール 1 虚惑星の魔法使い 上巻 (書籍)出版社/メーカー: TYPE-MOON BOOKSメディア: おもちゃ&ホビーこの商品を含むブログ (3件) を見る(アマゾンではない巻もあるようなので一応公式も) 『謀略のズヴィズダー』がどうやら立川あたりを舞台にし…

歌詞のこととか

残響さんにご返事を書いていたら長くなってしまったので、読みやすいように別エントリに。 書き込みどうもありがとうございます。 キモいさんの意味づけについては、作中ではそういうメタな言及は直接はないし、無理に意味づける必要もないのですが、自分の…

星継駅疾走軌 (65)

穿った見方をするなら、時間SFの魅力は隔てられることにあるのであって、年代記風に点描するならばまだしも、語りの欲望にとり憑かれてその溝を取り払ってしまう邪道は偽物をしか生み出せず、キモくしかあれないということか。 困ったのは、苦手な野月まひる…

花澤香菜『claire』

claireアーティスト: 花澤香菜出版社/メーカー: アニプレックス発売日: 2013/02/20メディア: CD クリック: 35回この商品を含むブログ (36件) を見る それにしても花澤さんのような人が声優として引っ張りだこになって、その声が生かされるようなキャラクター…