2013-01-01から1年間の記事一覧

石川博品『後宮楽園球場』

後宮楽園球場 ハレムリーグ・ベースボール (スーパーダッシュ文庫)作者: 石川博品,Wingheart出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/12/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (23件) を見る 後楽園球場に「宮」(睾丸の除去、あるいは貴人の住処)を加えた小…

ゴス道の乙女たち (70)

最近、上坂すみれさんがロシアに行って活躍したり(彼女の言い方だと「ゴスロリ」ではなく「ロリータファッション」なので別の言葉のようだし、「ロリータファッション」という言葉はロリータの由来を考えるとあまりにあからさまな気がして、ロリータという…

福嶋亮大『復興文化論』

復興文化論 日本的創造の系譜作者: 福嶋亮大出版社/メーカー: 青土社発売日: 2013/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (19件) を見る 前著に続いて刺激的な内容の本だった。ただし後書きにあったとおり、日本文化論といった趣きが強く、別に復興とい…

唐辺葉介『電気サーカス』

電気サーカス作者: 唐辺葉介出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2013/11/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る ネットで日記めいた文章を書くことに関する鬱屈といわゆる社会的な自分探しを扱った日記体の…

妹スパイラル (70)

ノイズが多すぎるこの世界から撤退したい。そのために働いて元手を作り、仕事を辞めて、引きこもれる準備をした。妹を迎え入れるのだ。実妹感が足りないことが欠点と見られる場合もあるのかもしれないが、実妹感を出すようなエピソードをいちいち作っていた…

西尾維新『終物語』

終物語 (上) (講談社BOX)作者: 西尾維新,VOFAN出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 数学小説ってジャンルがあるのかしらないけど、数学と小説の形についてちょっと考えたところだったので…

Clover Heart's (65)

こうして美少女ゲームの感想を書くのもこれで200作目だそうだ。この世界を知ったのは確かFate/stay nightが出た10年前の冬だが、思えば遠くまで来たものだ。今ではもう、2ちゃんねるのいろんな属性スレを見て勉強することも、秋葉原の紙風船やソフマップを…

ギャングスタ・リパブリカ (80)

僕らの欲望を巻き取る戦闘美少女たち。一見すると未来にキスをの地点から後退したようで面倒にも思われるが、エロゲーにおいて悪をやろうとすると、かえって見かけは真っ当になるということか。 まずは第2部の論戦を中心に各ヒロインに関して。 ゆとりは、自…

石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』

ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)作者: 石川博品,切符出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2013/07/29メディア: 文庫この商品を含むブログ (31件) を見る 確かネルリが出たときに、こんなマニアックな設定ではなくてもっと普通の高校生の学…

かみのゆ (65)

この前久しぶりに見返したNieA_7に続いてまた銭湯のお話。エロゲーの中でしかまともな風呂に入らないような野蛮人なので風呂にまつわることをほとんど何も知らないのだが、「いいお湯でした」というときの「いいお湯」とはどういうものなのだろう。神様たちによ…

消化(チェルノブイリとか震災とか)

チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β vol.4-1作者: 東浩紀,津田大介,開沼博,速水健朗,井出明,新津保建秀,上田洋子,越野剛,服部倫卓,小嶋裕一,徳岡正肇,河尾基出版社/メーカー: ゲンロン発売日: 2013/07/04メディア: 単行本(ソフトカバー)…

NieA_7とか

アニメの感想はうまく書ける気がしないので書かないことにしているのだが、近年はニコニコ動画で無料で見られるのを中心にけっこう見ていて、生活のリズムの一部になっている。傑作といえなくても、そこそこ面白いアニメ(今なら進撃の巨人とかレールガンとか…

運命が君の親を選ぶ、君の友人は君が選ぶ (60)

陰陽のような世界を読むための象徴体系を説く教書のような作品で、ドラマトゥルギーよりも教書としての完結性を優先させたかのような終わり方は、そういうものとしてみれば面白かったということも出来るかもしれない。終章「五蘊」では、誰とも添い遂げるこ…

Lovesick puppies (55)

ファンタジー要素がないゲームはやはりつらい。犬と戯れるように可愛い女の子と戯れるのを楽しむ病的なゲームをタイトルから期待していたところ、単に可愛い女の子に健全な説教をして保護者になってやるという無自覚に病的なゲームで、いちいちヒロインに「…

向日葵の教会と長い夏休み (75)

メーカーの先行作品をそれほどプレイしていないので勝手な解釈だけど、『素晴らしき日々』との連続性を何かと感じる作品だった。ひとつ挙げると、「それは、ささやかな――希望」というBGMで、これはすばひびの「夜の向日葵」のアレンジのようだった。日常の喜…

星継駅蒐集箱 (70)

宇宙の話で不思議なことのひとつは、「光年」という単位で、距離の単位のはずが何やら時間の話になっているみたいな感覚があり、膨大な距離というのは膨大な時間と結びついてしまうものなのだろうかと納得しそうになる。先に発売された擾乱譚の感想でも書いた…

走る列車から跳びだして

ツイッターで流れてきたリンクを何気なく開けてみたら、昔モスクワで話をしたことがある若手作家の人が何か書いていて、この人メディアによく出るようになったなあと思いつつ読んでみたら、最近オランダで自殺した反体制活動家の遺族に話を聞きにいったルポ…