大図書館の羊飼い Dreaming sheep (60)

 おとぎ話がないのなら、主人公が甲斐性を発揮して女の子を幸せにしてあげられないと話が回らない。だから主人公はがんばるし、ふさわしい幸せも手に入れるのだけど、僕としてはそんな彼を見ても大変そうだという感想が先にたってしまうのかもしれない。自分と主人公の間の距離が埋まらない感じは相変わらずである。眩しい若さっていうのはもっと感傷的なもののはずなんだけどね。
 そもそもこの作品とその前編を購入したのは、特典の枕カバーを衝動買いしたくなったからだったりして、肝心の枕カバーを飾りたい衝動はなくなってきてしまったが、せっかく買ったので前作に辛めの点数をつけたのにもかかわらずFDをやってまた文句を垂れるというのは生産性がないなと思っていたところ、前作でやつあたり気味の感想を書いてしまった反動か、思いのほか楽しめたような気がする。図書部関連の話というよりは付き合いだした二人の話が多かったからかもしれない。キャラとしては多岐川さん(告白前まで)、嬉野さん、小太刀がよかった。佳奈すけの話も面白いといえば面白いのだけど、やっぱり作りが真面目すぎて堅苦しい。それが彼女らしいとも言えるし、幻想性の薄い本作らしいとも言えるのかも知れないけど。