ぐらタン (60)

 いまさらではあるがエロゲーにコメディはあまり求めていないと改めて思った。主人公の能天気なハーレム志向と対称にされる形でヒロインの我慢や依存をテーマにしたシナリオが多いので、もっとドロドロした話になってもおかしくないのだけど、コメディタッチなのでどれもすっきりした終わり方。バランスの狂ったところのあるキャラデザや構図、落ち着きのない色使い、ちょっと空回り感のあるネタの仕込み方、広げた風呂敷のたたみ方など、別にこの作品に限ったことではないけど、手作りっぽさが漂う。それはこのおとぎ話のような小さなハーレムでささやかな幸せを育もうとする主人公の、夢のようにどこか不確かなところのある物語の身の丈にあったもののように思える。「幸せ」を描こうとすることによってこうした品質的な不足を作品の要素として取り込んでしまうのは、エロゲーの自家薬篭中とするところ。
 エロ方面は細かいことを言い出すとキリがないので少しだけ。ヒロイン達はみんな可愛いので基本的によいエッチシーンばかりだったが、絵が雑で魅力がそがれているものがけっこうあった。岬子の大きなお尻はよかった。以上。