「彼女の穴は、謎に満ちている・・・!」(感覚の鋭い牙雑感)


 一息ついてみると、やはり「終ノ空」のように「作られた」電波なのだろうなと思ってしまう。「終ノ空」はそれでも、90年代という一時代前の雰囲気や病的な絵が面白かった。こちらはまだ少し近すぎるかもしれない。
 とはいえ始めのインパクトは強烈で、クラナドを越えて、今までで一番笑った。箱の売り文句から期待していたとおりだった。タイトル画面で宇宙少女(CV:鳩野比奈)の歌う主題歌「瑠璃色の彼方」が流れるのだが、これがとても下手くそで、浮遊感あふれる宇宙的な伴奏と見事に調和している。ロシア文学でもそうだが、瑠璃色はやはりすごい。作品中で彼女が主人公たちをマインドコントロールするために歌う鼻歌も(「るりーるーらー、りるーりらー」というふうに明らかに口で歌っているのに、なぜか鼻歌と呼ばれている)、シュールなまでに音痴。そして日常シーンでもHシーンでも、多幸感溢れるBGM「電磁波」が流れ出すと否応なくテンションが上がる。っていうか、日頃から脳内にこんな音楽を流している主人公が一番笑える。テキストも、かわいそうな人のずれたリズムに感染させられて楽しい。某団長も宇宙人に会うことを夢見ているうちに、いつの間にかこんなふうになってしまったら面白いだろうな。
 あとはどう終わらすか。あまり期待しすぎるぎるのは酷だろうから、何も考えずにエロと笑いを楽しみながら進めていこう。