注射

『虚構機関』(2007年日本SF傑作選)…十人以上載っていたけど、結局新しい発掘はなかった。円城塔の『パリンプセスト』が割と面白かったけど、後は余興程度で、読み応えあるものはなかった。短編集だから仕方ないか。仕方ないのか?
定金伸治『四方世界の王3』…シャズのカリスマ度が下がって、普通のボーイミーツガールっぽくなってきてしまった。シャズが男なのか女なのか分からないのがせめてもの救い。
紅玉いづきミミズクと夜の王』…帯で感動を煽っているのが逆効果だったかも。面白いしキャラも立っているけど、話の進み方に新鮮さが無くて予定調和な感じに。ライトなノベルだった。表紙の絵はよかった。


 マウスが壊れたことをいいきっかけにして、クスリが切れた廃人のように久々に秋葉原へ行ってきた。最近は食指が動くエロゲが全くなかったが、主人公が女の子でちょっと暗そうで、評判もそこそこいいらしいことに望みをかけ、『漆黒のシャルノス』を買った。ライアーソフトはプレイヤーの心を抉ったりするようなことはせず、「ゲーム」や「おとぎ話」の枠組みを超えずにプレイヤーを楽しませる、自制の取れてしまっているメーカーという印象だが、仕方ない、他にないんだから。なんだかんだいって一番新品で買っているメーカーだ。もうファンクラブとか入っちゃってもいいんじゃないかというくらい。
 あと、以前どこかで名前を見かけた同人ゲーム『夢の浮橋』(無限逃避級数)1巻を見かけたので買ってみた。事前情報はほとんどなし。源氏物語エロゲー化かな。
 あとはいえろ〜ぜぶらをはじめとする東方系音楽CDをいくつか買ってみたけど、結局いえろ〜以外はいまいち。むんらい・むんらいって…。咲夜が悲壮に歌い上げるのがごみ掃除の歌だったりと、妙なところで笑いを誘うんだよな。
 煩悩の極めつけはセイバーのフィギュア…

Fate/stay night セイバー (1/8スケールPVC塗装済み完成品)

Fate/stay night セイバー (1/8スケールPVC塗装済み完成品)

 見本写真に比べると首がなんか突っ張ってるみたいな感じで、ポーズがズバッと決まっていないの残念。顔の形もなんかひょうきんな操り人形みたいというか…。まあ僕は視力が悪いのであまり気にしないという手もあるし、原作通りに肌がとても白くて綺麗なのはよいし、顔も見る角度によっては颯爽としていたり、鬼神じみた力があったり、歌舞伎的な見得が決っているとも言えたり…と言い訳はいくらでもしつつ鑑賞できるレベル。特に顔以外の部分は隙のない見事な完成度。中二病臭いが、鎧やドレスもセイバーの存在をよく表す彼女の一部なのだから、この完成度には喜ばざるをえない。やや下から見上げる角度がベストなのは、セイバーが人の上に立たねばならない英雄だからなのか、それとも僕がセイバーに見下ろされたがっているからなのか、それはこの際どうでもいい。3000円でこんなほとんど芸術品といってもいいものを購えてしまえていいのだろうか。自分が言うのもなんだが、なんか冒涜的なような。大げさな喩えだが、エミール・ガレやアブラムツェヴォ・サークルの家具がお金を出せば買えるものになった時代もこんなだったのかな。まあ、セイバーならこんな卑屈な考え方はしないだろうな。