日々雑感

古代研究〈1〉祭りの発生 (中公クラシックス)

古代研究〈1〉祭りの発生 (中公クラシックス)

古代研究〈2〉祝詞の発生 (中公クラシックス)

古代研究〈2〉祝詞の発生 (中公クラシックス)

 折口信夫の古代研究をやっと2巻まで読み終えた。読みにくい!論文というよりは研究用の私的メモみたいでこんがらがっているし、読み方が分からない言葉が大量に出てくるし、レアリアもよく分からない。口述筆記や講演録も分かりにくいのだから、散文が苦手とかいうような問題ではないらしい。せっかく「クラシックス」と銘打ったシリーズなんだから、一般読者向けにルビと脚注を充実させてほしかった。1巻は「祭り」、2巻は「祝詞」が副題。2割くらいが面白く、4割くらいがまあまあ、4割くらいがつまらない感じだった。巫女とか物忌みとか、特に筆者が「性欲的」(笑)と断っているあたりの話はとっつきやすかった。「八心思兼神(ヤゴコロオモイカネノカミ)」とか「みすまる」とか、どっかのアニメで聞いたような言葉も出てきていた。てんてこ盛りで暑苦しいラブコメじゃなくて、古代神話の方向を掘り下げてくれていれば、また違った味わいがあったんだろうなあ。3巻はやっと「文学」。岡野弘彦氏による序文を読む限り、かなりスリリングな内容のように思われる。とはいえどれだけ消化できるやら。
 うたわれるもののアニメはやはりチープな出来損ないだ、と久々にゲームのサントラを聴いてみて、あらためて思った。音楽の余白から物言う沈黙のようなものが聞こえてきた。今、これを書いている明るい日中では薄れてしまっているけど、音声のないこのゲームが持つ、物語の存在感という甘美な罠を感じた。エルルゥとアルルゥには声がない代わりに、一緒にバトルして、音楽を共に聴きながらこちらを見て話してくれるだけでよかったのだ。明らかに、心地いいだけで内容のない後ろ向きなゲームなのに、つくづく不思議な魅力であるよなあ。
 久々にしまいまを少し進めた。成り行きでクラスメートをレイプしておいて相変わらず何の反省もしない主人公に脱力した。これでもヒロインとの恋愛ストーリーらしきものが平然と続いていくから奇妙だ。この物語の異常な身軽さや明るさは、もうフォークロアか何かの域に達しているような。アリスソフトは、狂っていないとしたら、豪快だ。
 Silent Halfを少しやってみた。ヒロインたちの口癖が音声化されると激しく興ざめなタイプのもので(「ぷ〜」「うにゅ〜」)、これを連発するのは声優のキャパを超えている。掛け合いも的外れな感じで、まるで萌えることを禁じられているみたいだ。