映画『ドストエフスキーの生涯のある二十六日間』

Двадцать шесть дней из жизни Достоевского (1980)



日本語でてるか知らないけど、字幕なしでも買いたい人はこちらから。通販で500円くらいプラス送料。クレカ支払い可。ロシアのビデオは日本のデッキでは再生できないので注意。
 借金に負われて『賭博者』を書くドストエフスキーが、期日に間に合わせるためにアシスタントとして速記のアンナ・スニートキナ(後の妻)を雇って、何とか仕上げる話。
 目立った破綻はなくうまくまとまっているけど、やはり俳優の演じるドストエフスキーって感じがしたなあ。アンナの回想録とか読んでないからわからないけど、本物はもっとしゃべり方に癖があったり、打ち解けない真面目な感じだったりしたんじゃないのだろうか。アンナの家に見舞いに行って、まだ連載中の『罪と罰』のラスコーリニコフについて、彼女の若い友人たちに問い詰められ、興奮して癲癇の発作を起こしてしまうドストエフスキー。あのシーンはなかなか良かった。エヴゲーニヤ・シーモノワ演じる当時20歳のアンナは、まるでドストエフスキーの小説のヒロインのように綺麗で正義感がある娘さんだったけど、これも俳優の演じる19世紀の女性という感じか。スタニスラフスキー・システムの行き届いたソ連映画だけあって、その演技はしっかりしたものだが。ちなみに、速記を雇ったことで本当に仕事が捗ったのかどうかは、映画からはよくわからなかった。ソクーロフだったら文豪の日常からきっと新鮮で謎めいた映画を作っただろうけど、こういう安定感のある小品にも、それなりの教育的意義はある。でも、やはりなまの回想録のほうが面白いかもしれない。