映画『ハルムスのばあさん』

СТАРУ-ХА-РМСА (1991)

 膿のような映画。ハルムスが原作で1991年制作ということである程度は予想できたけど、魑魅魍魎系グロテスクの連続。上品にしたら『デリカテッセン』みたいな映画になったんだろうか?
 演劇ではハルムス作品はカーニバルっぽいファルスになることが多いみたいだけど、この映画では、笑いよりかは呻きをという感じで、狂人やゾンビみたいな人間たちが、口からなんか垂らしたり、ぐちゃぐちゃ這い回ったり、奇声を上げたりするのが大部分だった。もし映像がフルカラーで大きなテレビで見てたら、最後まで見るのはかなりつらかったと思う。ソ連末期の人々の終末的な心象風景があるんだろうけど、グロ映画としての普遍性もある。