まだ黄昏 (天使のいない12月雑感2)

 一つ下で書いた妄言はかなりあてにならなそうだ。さらに先に進めた。
 初めは、雰囲気に浸ったまま真面目に進めて、誰にも心を許しきらないまま終わった。次は、透子との別の結末を目指したけど、何度もバッドエンドを迎える。選択肢によるシナリオ分岐がすごくうまくて、いろんなバッドエンドを読まされてしまった。そしてその挙句、真帆ルートに迷い込んで最後までいってしまった。そして今度こそ透子ルートに入ったみたいだけど、ここでまた休憩。かなり面白そうだからこれは後に取っておいて、先に他を見ちゃおうか・・・
 初めに浸っていた硬派な冷めっぷりもどこへやら、何度もいろんな選択肢を通過して、主人公の価値観と周りの反応が揺らぐたびに、僕のプレイヤーとしての同一性にひびが入っていった。そしてメタ方向に二重化していく女の子たち。しのぶの容赦ない眼差しも、前屈み気味な立ち絵の透子も、モニターの透明な壁の向こうから話す霊か何かのような感じになっていく。光源の処理が背景画とずれているいるのも意味ありげに見えてくる。突如音楽がやんだり、Hしながら「ずっとこままでいたい」とつぶやいたり。未来にキスをみたいにヒロインたちが瞑想的なことを話し出したりはせず、あくまでも恋愛の物語を進めていく。真帆エンドはそんな混乱に疲れた挙句の一つの安息の形だった思う。
 透子ルートでは、透子の馬鹿さが可愛く感じられてきてしまって戸惑う。「しーちゃんが来ちゃう」とか。ここに萌えたら負けだと思いつつ、主人公と共に僕も何度か苦笑を漏らした。このままトゥルーエンドに向かって進んでいくと、透子がだんだん普通の守ってあげたい系ヒロインに落ち着いていってしまいそうで残念な気がする。序盤やバッドエンド終盤で見せた迫力はどうなってしまうんだろうか。しかし、完成度が高い分だけ、毒も美しく完成されてしまっている作品だな。