陽の注ぐ隠れ家

 ている・ているのサントラを聴くと、「雰囲気がいい」と言われている意味や、なぜESであれほど高得点をつける人がいるのか、改めて分かってくる。どの曲も特にずば抜けてすごいとわけではないが、ミンが掃除に勤しんだりしている風景が思い浮かぶ「花舞」とかがよい。モノノケたちは何百年も生きる。だから何か悲しみのような強い思いに囚われている音楽よりは、どこか時が止まってしまったような眠たさのある、しかし家事や昼寝やかくれんぼなどののどかな作業に、各自が思い思いに勤しむ様が見えるような、穏やかな絵画のように安定した世界がいい。音楽は時間芸術に分類されるはずけど、こうした隠れ家のような空間芸術にもなる。銀太のうるさい薀蓄も聞こえてこないし、無理に聞かされるのではなくてこちらのペースで思い出せばいい。