リアライズ (65)


 ヒロインたちがストーリーにあまり絡んでこないので高くは評価できませんが、それ以外では質が高くて楽しめました。終わり方も見事。


 ろくに調べないで買ったので的外れな文句になりますが・・・。エロが薄いのは仕方ないとしても、ヒロインの必要性が薄く、キャラが女の子である必要性が薄く、男の絆や男キャラの描写がメインになっているとはこれいかに。エロゲーというよりはBLゲーに近い。亮と修二と春秋の愛と絆の話を堪能してしまった。彼らの前髪が風に吹かれて揺れていたり。こういうカップルの話になると、ラスコーリニコフとラズミーヒン、ニコライ・スタヴローギンとピョートル・ヴェルホヴェンスキー、ムイシキンとイッポリートなどのドストエフスキーキャラを思い出します。まあキャラゲーではなかったわけだけど。

 作品のテーマも『罪と罰』や、最近なら『デスノート』でおなじみのやつ。でも、逆にそれだとあまりエロゲーならではの新鮮味がない。出発点が同じでも、方向性によっては最果てのイマみたいな癖のある話が出来るはずだけど(そういえばイマでも章二の位置が独特)、今作は面白くはあっても新しかったり強烈だったりはしなかった。いくら主人公に嘆かせようが、結局「バトル」しちゃっているし、「戦う」という言葉を少年マンガ風に使っちゃっているし。共通シナリオが多いながらもよくまとまったストーリーで、中途半端だとは決して思わない。終わり方はあれでちょうどよい。ゲームが終わったからって終わる類の話ではないし、伏線回収とかには関心はない。

 ヒロインたちは銃後の癒しキャラになっていて、ちょっと古い。エロゲーのヒロインたちも「女の子らしさ」の殻をまとわされているけれど、それが異常なほど過剰だからかえって面白くなることが多い。本作では普通だから、普通に古い感じがする。Forestは萌えも恋愛も薄かったけど、女性らしいドロドロとした内面をかなり掘り下げていた。テキストは器用で面白く読めるし、蛍のような普通の女の子は、現実だったらちょっとカマトトぶりがみっともなくても、ゲームなら素直に可愛くて萌える。それだけに、痕ではちゃんとストーリーがヒロインを通じて展開されていたのに、本作ではついで扱いなのが残念。ライターの高橋氏によれば、八重を中心としたシナリオ構成やテキストの人称の仕掛けに実験的な野心があるとのことだけど、これもイマの後では大人しめな印象だし、何より八重にヒロインとしての魅力をあまり感じられなかった。顔が知り合いに似すぎていた。ついでに言うと�瑤隆蕕發覆鵑世ʑ検垢靴ǂ辰拭覆海譴亘ǂ畍斥奸法〽存嚇Ľ覆箸海蹐❹△襪里世箸靴燭蕁▲⑤礇薀押爾犬磴覆い箸いΔ海箸覆里世蹐Δ韻鼻△世ǂ蕕箸い辰萄酩覆修里發里❹修海泙婆鄂甘Ľ世辰燭箸牢兇犬覆ǂ辰拭�

 絵はあまり好みではなかったはずだけど、意外とよかった。HCGなどの一枚絵はいいものが多かった。さりげなく机に乗っかるおっぱいやとろけそうな身体が、いやはやなんとも神々しい。タイトル画面などのシステムデザインなどの質はとても高く、最果てのイマやハローワールドを髣髴とさせ、現代美術のオブジェのような「エゴ」たちのデザインも、うすっぺらくてなかなかよかった。OP、EDムービーも洗練されていた。素人なのでよく分からないが、テクノやジャズっぽい音楽も素晴らしかった。じっくり聴けたので音声がなくてかえってよかった。絵・音楽・テキストが都会の夜のどうしようもない感じを上手く演出していた。ハローワールドやlainにも劣らないか、それ以上だったと思う。

 それから最後に。攻略が難しくてかなり勢いを削がれた。一度自力でやってバッドエンドを見たあと、すぐに攻略チャートに飛びついてもよかったかもしれない。


BGM変換 (nwa→wave変換)
※nwatowav.exe を nwa があるフォルダにおいて、
  nwatowav.exe M01.nwa M01.wav
(でもやっぱクラナド智代アフターのときのように音がつぶれてしまうようだ。それに短い。サントラ買ったほうがいいかも。ゲーム本体より高いけど。)