終末の過ごし方 (65)

 箱の絵から想像されるほど低血圧で寒々とした話ではなく、雰囲気のよいすっきりした短編だった。話をこね回したり掘り下げたりメタ化したりということがなく、テンポよく一直線に進んで終わる。今のゲームの感覚からすると長編のプロローグ程度の手ごたえしかないが、登場人物たちがなんとなく納得して終末を迎える様を見るのは心地よい。でもそれは、自分は上手くいった主人公(とプレイヤー)の自己満足だろうか・・・という疑問は病的ですね。そんな有無を言わせないのが終末なのだから、悔いを残すような過ごし方をするだけ本人の損だ、という話だし。というわけで、一生懸命になるしか脳のない男どもを尻目に、終末を前にした女の子たちは、いつにも増して儚くてやさしいぬくもりを発していた気がした。
 期待していなかった絵とHは意外によかった。水彩なので光が柔らかく、身体も表情も綺麗にやわらかく描かれていて、雰囲気がよかったからだと思う。