そらいろ (65)

 子供のイメージとして、首が突っ張っているというのがある。成長途上にあるからか体のバランスがどこか不安定で、その偏った力がまだ肉付きの薄い上半身とか首とかにかかっている感じ。あとは得体の知れないものを警戒するような目つき。本とかの間接的な知識を教え込まれる前の、目の前のものからの直接的な情報だけが頼りの頃の、動物のような目つき。こういう雰囲気を描かせたらねこねこソフト(のあんころもちさんか)はうまい。朱のときも印象的だった。本作でも愛依やつばめの子供の頃の不安定で純粋な心の動きがよく表れていたと思う。子供にしては首のすわりがよくてバランスが取れた感じの花子は、実際に素直で、周りの世界に対しても物怖じをしないいい子だった。そのまま大人になることなんて普通はほとんど無理という伏線も含めて。
 大きくなってからは花子は(いちゃもんをつけるような見方をすれば)額が四角くて肩に力が入っているので力んでいるように見え、つばめは首がひょろ長くてくせっ毛をそのままにしているのでのんきで隙だらけに見え、愛依は力が分散されてどこか儚くて遠く離れてしまったように見える。全部気のせいといえば気のせいだけど、そういう不安定さに子供の頃の姿が重なって見えてくる立体感と、そんな女の子たちと夏の明るい海辺に田舎町で思いを通わせあうという、非現実的で楽園的な設定に侵されてわけが分からなくなってしまうというエロゲー時空に吸い込まれた。