Renaissance (60)


 テキストが軽いのであっさりした読後感になってしまったが、かなりダークな話で驚いた。


(以下若干ネタバレ注意)


 言語学錬金術イエズス会など、設定的な部分の記述が、なんだか学習マンガでも読まされているかのように簡潔で教科書的で、それはそれで潔いとはいえ、そんな嬉々として啓蒙活動しないでくれ、ドラマトゥルギーを忘れないでくれと思った。内容は入門書や新書レベルなので高校生か大学1・2年生くらいまでは面白いかもしれないけど、この歳になるとさすがに知的スリルはあまり感じられず、設定として上手くストーリーにつなげているなーくらいの感心しか出来なかった。確かに、実念論ファウスト言語学―インターネット―エロゲーという連想は面白いし、イワン・カラマーゾフの悪魔を思わせるようなあの二人もよかったけど。それから羽純さんもよかったし、あの場面では夜中にやってて魂消た。

 絵は構図やポーズが新鮮、個性的でそれなりに上手い。ただ線や色が軽いので綺麗ではあってもエロくなかった(Hシーンのテキストは面白かった)。キャラによってはお化けみたいに生気のない顔をしていて抵抗があったけど、テキストが軽妙なので奇妙なギャップがあった。主人公も素直で生意気な少年ぽいセリフを吐くくせに、外見はレディコミに出てくるモデルみたいなおにーさんだし。テキストはあまり平均的なエロゲーぽくなく、文章を簡潔にまとめてどんどん前へ前へと転がしていくので、コミカルなところでもダークなところでも(この切り替えが奇妙に早い)、やっぱりなんだか学習マンガっぽい素直なテンポを感じた。決して空っぽで味気ない文章というわけではないけど、濃いわけでもない、うまく言えない軽さだ。ストーリーの重さを消してしまう。言語による世界の改変のテーマが出てくることによって、重さも「置き換え」られてしまうかのように。音声があったら少しは変わっていたかもしれない。
 攻略はサイトを見たけど、それでもコツを掴むまでかなり面倒だった。