ハズレ気味

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
 京極夏彦の『姑獲鳥の夏』を読んでみた。文章が合わなかった。初めの150ページくらいは、どこかで見たことがあるようなドグラ・マグラみたいな空っぽでつまらない放談が、ゆるゆるの文体で垂れ流され、こりゃだめだと思った。話が動き出してからはミステリのジャンルを使ったキャラクター小説として楽しめたけど、文章のベタな鈍さは最後までさほど変わらず、これ本当に大人が読む本かよと思った。エロゲーと大して変わらない締まりのない文章。楽しめたとはいえ、推理小説として道具立てもいかにもなものばかりで、レトロ調のプチ擬古文の文体と同様にわざとらしさが抜けきらなかった。エピローグで主人公に日常への復帰の倫理性を葛藤させて言い訳してもだめ。まあ所詮は娯楽小説だし、娯楽小説にあまり高望みをしても見当違いなんだろうけど。推理小説は人が死んだり猟奇的な犯罪を犯したりするのを論理的に説明して楽しむ、悪趣味なジャンルだ。シャーロック・ホームズを読んでいた高校生の頃はそんなこと気づかなかったんだけどなあ。でも、それを言うなら、僕の好きな泣きゲーも悪趣味ということになるけど、それは叙述方法によって(ある程度?)矯正できるものであって、ようは「謎解き」をせずに事件を抽象的なシンボルとして閉じ込めてしまえばよい。AirやONEの方法だ。病院坂黒猫に執着し続けたり、悪夢のハーレムエンドに酔い続ける読み方もそうだ。あれ?こっちのほうがよっぽど悪趣味かな?ともかく、この『姑獲鳥の夏』では、主人公を狂わせ自らも狂った、サディスティックな久遠寺涼子(特に少女時代)だけが生きたキャラだった。それから民俗学談義もそれなりに楽しめた。この程度の作家なら、京極夏彦はもう読む必要はなさそうだ。ついでに、解説者の笠井潔氏が言うようにこれが「現代本格の記念碑的な傑作」ならば、現代本格ももう読まなくていいようだ。
 そういえば今朝見た夢は、家族で川にキャンプに行ったら、一緒に行った彼女が泳いでいたら人魚になってしまったというものだった。彼女の顔は、今使っている団扇にプリントされているオンラインRPG「ヨーグルティング」のヒロインだったような気がする。昔の彼女にもちょっと似ていた。抱きかかえて車に乗せてあげたりしたけど、陸では体が乾いてしまってとても痛ましかった。どうやら先日行った水泳と、覆いを掛けたままであまり使っていない萌々ちゃん抱き枕と、下半身が鳥な姑獲鳥のイメージのせいらしい。


 昨日は久々に宮台真司の丸激を見た。お金払っていてもたまにしか見てない。ゲストは江川達也で、靖国問題の話。江川の『日露戦争物語』は10巻くらいまで読んだことがあるけど、あまりのつまらなさに絶望して古本屋に売り払ってしまった。日本史・世界史的なマクロな話とキャラのミクロな話のつなげ方がベタで、歴史の教科書と偉人伝にイラストをつけただけみたいな感じで、物語としてプリミティヴで楽しくなかった。宮台先生と神保さんも実はつまらないマンガだと思っているんじゃないだろうか。だから江川氏の「リアリスティック」な見解にある程度納得しながらも、かなり胡散臭さも感じた。説明も短絡的だし。靖国参拝問題そのものについては、僕は、A級戦犯とかは別にいいと思うけど、政教分離の点で政治家の公式参拝には反対。アメリカで大統領が聖書に手を置いて宣言したりするのも好きじゃない。天皇の場合は、存在そのものが神道なしではありえないような神道システムの一部品だから、別に参拝してもかまわないと思う(今はA級がいるから参拝できないらしいけど)。江川氏は靖国参拝については「別にあんまり形式ばらなくてもいいんじゃないの」という曖昧容認派らしい。というかあんまり興味ないような口ぶりだった。
 もう一つ、グーグルについての回のも見たけど、こっちもあまり新鮮味はなかった。ゲストの人もたいした話できてなかった。


 吉永さんちのガーゴイルを最終話まで視聴。シリーズ後半は割りと普通のアニメになってしまった。結局一番面白かったのは雪山の村のエピソードだった。ちょこっとSisterは3話まで視聴。これはかなりキモくて業の深いアニメだ。OPとEDのネコ踊りが特に気持ち悪い。両主題歌もユーモアとセンスがゼロの腐った萌え(?)ソング。いつぞやのネコミミモードを少しは見習ってほしい。登場人物が全員無邪気に思考停止したままご都合主義を受け入れる、変態視聴者仕様。しかし妹のちょこが加奈に似ているし声が可愛いのでつい見てしまう。ゼロの使い魔は第4話まで。平均的ないまいちの出来。つよきすも第4話まで。期待していなかったけど、かなりひどい。絵も演出もレベルが低く、いいのはLittle NonによるジュディマリっぽいOP主題歌くらい。笑いが売りのはずなのに、それがことごとく滑っている。原作ファンの人には残念だろうなあ。原作は高いので体験版しか知らないけど、体験版も特に印象には残らなかった。アニメはネギまみたいな話になってて、とても18歳以上の大人向けの話が原作とは思えない。