キタミタ・・・

時計じかけのシズク (OKS COMIX)

時計じかけのシズク (OKS COMIX)

 30‐40分で急いで読んでしまったのがちょっともったいないが、あまり引っかかりもなくスッと読めてしまい、期待していたほどではなかった。To Heartのマルチシナリオとあまりに似すぎた話だったので。絵はこつえーさんの絵みたいで可愛かったが(主人公の容貌や設定までもどことなく浅羽に似てる)、それほど切れ味のある展開を見せてくれるわけでもなく、印象に残ったコマは最終話の時間の流れの表現(SFの醍醐味)と、どこか真ん中ら辺のエピソードで、使われない掃除機か何かのように部屋の隅に片付けられているシズクの図だった(生々しかった)。既視感を感じてしまったこととこれがよくできた美しい話であることは別のこととしておきたい。
 エロマンガを買ったのはみさくらなんこつの『五体ちょお満足』に続いて2冊目だが、エロマンガはモザイクがほとんどないのがすごいですね。エロゲーやAVと違って実用に使う気にはならないけど、また今度心行くまで鑑賞させてもらおう。鑑賞に堪える綺麗な絵だと思う。


めもり星人 (ミッシィコミックス)

めもり星人 (ミッシィコミックス)

 こちらもどこかで読んだことがあるような話ばかりでいまいちだった。セミのシーンと月子の描写のいくつかに少し印象に残るものがあった。
 海野螢のマンガはkagamiさんのコラムで興味を持って買ったのだが、どうやら期待しすぎてしまったみたいだ。もっとすごいエロマンガはあるのではないかと思う。


エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

エロマンガ・スタディーズ―「快楽装置」としての漫画入門

 というわけでというか、同時にこの本も買っていたのだった。だがこれも正直なところ期待を下回った。労作だし、読んでよかったとは思うけど。
 「エロさえあればあとは何でもあり」「アンダーグラウンドなエロの世界の何と豊かな可能性に満ちていることか」というようなお題目は、ただ唱えるだけでなく、これでもかというほど具体例を見せ付けないと説得力がない。でも本書ではエロ「マンガ」のすごさはあまり語られず、ロリコン・巨乳・近親相姦・SM・ショタなどのエロのジャンル論みたいな話が多くて(それもフェティシズムと多形倒錯的性欲礼賛、多様性万歳の、割と良識派っぽい普通の意見)、そんなのエロゲーで聞き飽きたよという感じなのだ。温厚な人文系であり、東浩紀とかみたいな強いメッセージを提示したりはしないのだ。網状言論F改に載ってた文章は割と面白かったような気がしたんだけどなあ。
 マンガはオタク文化の源泉であり、エロマンガにはたくさんの驚くべき宝がまだまだ埋もれていると漠然と期待していたのだが、蓋を開けてエロマンガ史をたどってみると、大塚英志が描き出した見取り図に大体収まってしまい、新たな魔法の国が出現するようなことはなかった。あるいは、本書の著述があまりに巨視的過ぎて細部が見えにくくなってしまっているだけなのだろうか(みさくらなんこつも一言で片付けられているし)。エロマンガにはAirやOneのような強烈な物語はないのだろうか?あるいはこれから先生み出すことはないのだろうか?そんなことはない、と期待しつつ、またの機会を待つことに。


エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること (NT2X)

エロの敵 今、アダルトメディアに起こりつつあること (NT2X)

 これはなかなか面白かった。エロ本・AVの歴史という、普通にしていたら絶対に持ち得ないような分野のパースペクティヴを与えてくれた。労作。エロ本・AV業界の変化は速いから、また定期的にレポートしてほしい。しかしあれほど百花繚乱・栄枯盛衰の無尽蔵の世界に見えたAV業界も、けっこう聞いたことがあるような何人かのアイドル女優を核とする一団にまとまっちゃうんだなあ。これもまた神秘のヴェールがはがれたみたいで少しさびしい。とはいえ、今度ちょっとお金を出してDVDかエロ雑誌でも買ってみようかなという気にもなった。基本的にはエロゲーだけど、月に一度くらい3次元のエロを見ると新鮮でけっこういいし。


 GREENを少しやってみて、アニメーションのエロシーンに喜んだ。やっぱ次元がちょっと違うわ。こんなに進化しちゃっていいのだろうかとも思うが。テキストはやたらとベタで素朴なのだが、それでも茜ちゃんの可愛さには参る。