planetarian (75)

 永遠の世界や幻想世界がないKeyだからか、テンション低めなだらだらした感想になりました。堪能したし共感もしましたが。
 題材の選び方はけっこう親近感わくんだけど(宮澤賢治の歌とかずるいよな・・・)、期待していたほどすごくはないなあという感想。星座や天文の世界は、漠然とした関心はあるんだけど、めぐり合わせが悪いのかまだかなり未知の世界。ふたつのスピカ宮澤賢治フレーブニコフを読んで、いつか少しつっこんでみたいなあと思っても、天文学の乾いた記述とダイジェスト過ぎる神話再話の強引な組み合わせの壁に、いつも阻まれてしまう。星やプラネタリウムが好きな人って、そのどこに魅力を感じているのかいまいちつかめなかった。星空自体は視覚的には綺麗なものだから、このよさが分かるようになればきっといいだろうなあと思う。そしてKeyならやってくれる・・・と思っていたわけですが。・・・あー、涼元氏にはもうひとふんばりほしかった。Airの神奈には唸らされたけど、Clannadではいまいちだった。本作もことみシナリオと同じくらいだった。泣かせ所に甘さや既視感がある感じ。個別にはいいところもあるだけど・・・「プラネタリウムはいかがでしょう」と「どんなときでも決して消えることのない、美しい、無窮のきらめき・・・」はあの声と絵で読まれると大層いい具合です。ゆめみのとぼけた受け答えも楽しい。マルチの時代に乗り遅れた者としては、いまさらながら、ヒロインがロボットであることと本作がパソコンゲームであることが上手く結びついているように感じた。マニュアル的な受け答えと、数が少ないながらも可愛い立ち絵と、プレイヤー・主人公・ゆめみ・作者の間の距離感を器用に混乱させるやり方が、なかなか上手く組み合わさっているように思った。特別上映の前口上で「それでは皆さま、盛大な拍手を」と言われたときには、恥ずかしいけどちょっと拍手しちゃったし。メッセージをストレートに出すやり方も割とうまかった:終盤の天国のくだりはちょっとあざとかったけど、あの地球を背景のしたゆめみの訴えには、パソコンのモニター越しならではの不思議な強さを感じた。人間とロボットでは時間の尺度や心と体の関係が違うっていうSFの定番ネタについては、あまり語るまい。本作では特にすごかったりはせず、まあ手堅かった。肝心の星空やプラネタリウムの話をもっとふくらましてほしかったです。