リアルゴーゴリワールド

 今度は一人の出張なので、少しは自分のペースで動けるかもしれないけど、自由時間はいずれにしても少ない。その少ない時間を利用して今日は宴会後の夕方にこの町のネットカフェを探した。4軒見て、平均1時間300-350円くらい。1MB20円というところもあった。日本語が文字化けしないのは恐らく高級ホテルにあるネットのみ。日本語が入力できるのはない。どこも管理人がいないのでCD-ROMからインストールすることもやってくれない。もっと僻地のネットカフェは気さくに設定してくれたのに。ネットカフェの場所を聞いて回っているうちに、お決まりの「どこから来たの?韓国から?」「日本」「日本のどこ?」「東京」「へえ」「どこでロシア語を勉強したの?」・・・「なんか漢字で書いてくれ(腕に)」「いいよ。・・・はい」「なんて書いてあるの?」「愛」「おぉ」「ナージャ、愛してる、って書いてくれ」・・・。
 昨日は夜中の3時まで宴会で、帰りに呼んだタクシーの兄ちゃんは東京に一度は行ってみたいと言う。日本の何がいいのかと聞いたら、「たとえば、NARUTOとか・・・」。思わず、ホテルに着いても30分くらい話し込んでしまった。アニメはすばらしいが(NARUTOとかガングレイヴとかアクション系が好きらしい)、ヘンタイは好きではないというので、啓蒙させてもらった。君が今見てて面白いと言ったダ・カーポは2001年(だったっけ)発売のヘンタイゲームが原作なんだよ、このゲームのシリーズは人気があって今でも続いているんだよ、他にもAirKanonというヘンタイ原作のいいアニメがあるから是非と見てくれetc,etc。この町ではまだインターネットが高いので、アニメやアニメの情報もオフラインで回っているらしく、ハルヒも知らないという。ちょっと悲しい。
 今回仕事でお世話になる人たちが北海道出身の年配の方たちで、ものすごい方言に戸惑っている。「機械」が「使い」に聞こえる。こちらはまだひよっこで仕事の専門用語すらよく理解していないのに、皆さんはなんか盛り上がっている。今は当地のおなごの相場が1200ルーブル(6000円弱)。普通に「パンスケ」という言葉が出てくるような人たちに一人若いのが混じるという貴重な体験。しゃべりのリズムがゴーゴリの描くコサックたちやイワン・ニキーフォロヴィチみたいな素敵に循環しては脱線していくものなので、盛り上がってくると(内容が理解できれば)爆笑できる。方言を話す年配の方たちの言語ジェスチャー、言語ミミックのスキルの高さはうらやましい。ロシア語を覚えるためには女を買えと命じそれを長いこと実践してきた割にはロシア語が下手な某上司とは違って、この北海道のおっさんたちは下品であっても爽やかで楽しい。時折僕の標準語が申し訳なさそうに挟まれる。とりあえず、ポンビキもやっている通訳のロシア人に日本の女の子の独特のかわいさを力説しておいたがむなしい。