Candy Toys 雑感のはずが・・・嘆き節

 国内外でで生々しい接待をしたりされたり、仕事がなかなか覚えられなくて鬱になったりで、エロゲーに触れることすらままならなかったのに、気が付けばまた流されている。そんな不安定な現在を反映して、必要以上に不安定な姿をあらわすCandy Toys。嘘屋佐々木酒人氏の作品は初めて。ESで評価が高いのでそれなりに期待もしてたところ、やはりなかなか読んでておもしろい物語。
 局面1。家族計画の憂鬱再び。アン・シャーリーさながらの家庭的で薄幸感漂うかなたと、頑なで殺伐とした主人公。末莉の物語を調教・メイド物という別の光を当てて見ているよう。音楽も、明るいのになぜかぎりぎりな感じのする家族計画のように、もうどこか吹っ切れている。ツンデレ主人公がかなたにおとされて、アンみたいな温かくて幸せな家庭を作ってしまったらどうしよう。
 局面2。「ウザいヒロイン」のアンビバレンス。すれてしまった世間の流れに乗れず、ピントはずれの反応や質問を繰り返し、自分の温かくて正直な生き方をやめられないかなた。「これが演技ならすごいだろうな」。Keyのヒロインたちにも通じる馴染み深くも雅やかなエロゲーの世界なのに、今の自分には、仕事ができずにブリっ子して先輩たちのいじられキャラにされ、それを自覚していながらも仕事はダメだし仕事に熱意もそれほど注げないので、無理があるのを承知でそれに流されつづけている自分の姿が、どこかちらついてしまう。うぁぁぁ・・・エロゲーは逃避の場。仕事を持ち込むなよ。主人公とかなたの関係に、上司のオヤジと若手ダメ社員の関係が重なってしまうなんて、いうまでもないが気持ち悪すぎる。確かに新人教育には調教プレイ的なところがあるとはいえ・・・おぇぇ、ぺっ、ぺっ。テキストがなかなかいいから変にリアリティがあって困る。
 局面3。主人公みたいに家に引きこもって金を稼いでいる人がいるなんて、僕にとっては都市伝説みたいなものだけど、それでもそういうアウトサイダーが羨ましい。仕事のプレッシャーが少しずつ増すたびに、出張先で上司たちに嫁探しネタでいじられるたびに、コンビニでバイトでもしながらのスローライフこそが一番の生き方なのではないかという気がしてくる打たれ弱い自分。かなたの町工場みたいな所や、海外の女工さんたちの工場なんかとも仕事があるだけになおさら。それでも「もうちょっとだけ続くんじゃ」と言いながら目を背け続ける。世の中って矛盾したものなんだよ、だから知識や情報ではなくて熱意がないとお客さんはついてきてくれないよ・・・クソッ、暑苦しいけど反論できない。周りの人はみんな真面目に苦労してるし、その努力も実っている。
 人間、捻じ曲がってしまうと、フィクションの中にしか幸せを見つけられないという無益な教訓。