僕と、僕らの夏 (60)

(ネタバレ注意)
 メインヒロインの貴理のシナリオを一つ終えただけだけど、なんだかもう他のシナリオをやる気がしないのでとりあえず一区切り。シナリオによっていろんなキャラの視点から話を見られるのがよいとのことだけど、それならもう少しみんなを魅力的に書いてほしかった。有夏も冬子も貴理のあとでは近づきたくない。lightのゲームはこれが初めてで、プログラムを公開してユーザーによる二次創作を奨励していることに痛く共感していたものだから、この作り直してくださいといわんばかりの野暮ったいテキストとシナリオはいったい何なんだと思った。主人公がとてもダメで、劣情に流され、友人にどつかれ、祖父に逢引をお膳立てしてもらっても、幼い言動で貴理にストレスを与え続ける。実は貴理も、散文的なダムの話をしていたら情緒不安定になって泣き出したり、場末の酒場で酔っ払って愚痴を吐き散らしたりと、かなり哀れな姿を曝しているけど、平然とその場を演出している親達や冬子ほど野暮ったくはないし、主人公と違って何度も無神経なことをしたりはしないし、それに何よりも、ちょっと暗いけど、性格も容姿も可愛いので罪はない。田舎者かもしれないけど、それも含めてとてもいい娘だと思った。H前のイチャイチャもさくらむすび並みに長くて楽しめた。
 視点が主人公とヒロインを交互し、どちらをも選択肢で動かせるのは、物語を操っている感じがしてちょっと面白い。でもその割には不本意な選択肢が多かったのには参った。ついでに、選択肢でセーブできないのにも困った。
 音関係では、完全版が出ている作品なのでこちらは声無しかと思っていたところ、しっかりフルボイスだったので得した感じがした。ただし、声優はよくてもセリフは凡庸なものばかりだし、声を読ませるとしばしばBGMの再生が不安定になるのには閉口。BGMはやや奇妙なセンスだった。序章はジブリアニメの音楽かバレエ用の組曲のような豪華な曲でわくわくし、続いて噂のケルト調の日常シーンBGMも楽しんだけど、しばらくしたら、廃村寸前の寂しい村で賑やかなケルト音楽が流れ続けていることにやや違和感を感じ、それから、陵辱シーンでの勇壮なクラシック調の曲で戸惑い、さらに、和姦シーンでは、19世紀の交響曲っぽい壮大なのが流れて、さすがにちょっと笑ってしまった。貴理が可愛いから許せるけど。ED主題歌は爽やかでよかったと思う。
 いつか他のシナリオをやることもあるだろうか?他の人たちは口々に、裏ルートに本領があるという。でも貴理は、絶対他の女の子を見るなと何度も釘を刺した。ダメ主人公の恭生に代わってせめてもの罪滅ぼしだ、貴理に操を立てておこう。少なくとも当分の間は。ESへの投稿も控える。