姫騎士アンジェリカ〜あなたって、本当に最低の屑だわ!〜 (75)

姫騎士アンジェリカ〜あなたって、本当に最低の屑だわ!〜 フローラ
プレイ日記:
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 こうして見ると終えるまでに1年くらいかかっている。最後は駆け足になったけど、長く遊べたゲームだった。最初に一言文句を言っておくと、CGが圧倒的に足りなかった。これは残念だった。
 昨日はもういいかげんにクリアしようと決めてやり、丸一日かかった。またもや土曜日が一瞬で終わっており、浦島太郎は竜宮城でエロゲーやそれに類したことをしていたのではないか、フォークロアにはけっこう残酷で性的なところがあるというし。
 セラルートはありがたいことに短かったのでサクッと終わったが、最後のアンジェリカは大変だった。評判の音声もかなり跳ばしてしまった。僕のような物語好きのプレイヤーにとってはこの作品はアンバランスでプレイしづらく、音声と調教のボリュームに他がついていっておらず、ストーリー、絵、音楽が不足してある種の苦行。しかし苦行には苦行なりの境地があり、レベル4の半ば妖怪化したアンジェリカのアピールをぼんやりと眺めていると、これはストーリーを追うゲーム、つまりテキストに絵や音が付随しているゲームなのではなく、絵にテキストや音が付随しているゲームなのだということが遅まきながらわかってくる。本作のテキストは言葉の身振りがある程度あっておもしろいところがあり(「クンクン、くさいわぁ」「おほぉ、おほほほぉっ」「めろめろぉ〜ん」など)、それが声優の演技で十分表現されていない場合が多い。サトウユキさんの演技は確かにすばらしいが、上記のセリフにあるコミカルな響きが取りこぼされていることがけっこうある気がする。(ちょっと脱線するが、「朝からずっしりミルクポット」ではこの落差はもう少し縮まっているように感じた。声優さんの演技かテキストの性質なのかよく分からない。みさくらなんこつさんのテキストはテンポがよく、直線的な疾走感があった。アンジェリカのほうはボリュームを出すために使いまわしすぎているからか、もう何だか解体されかけている感じがした。)
 したがってテキストから受ける印象と実際の声から受ける印象には少しの落差があって、そのためにテキストを黙読すること自体にも意味があると思っていちいち見ていたのだが、レベル4のアンジェリカの途中から、テキストを見るのをやめた。あまりにも使い回しが多く、意味が薄まり、もはや音楽的な何かになっていたから。音楽でドの音が何度も使われたからといってドの音に飽きることがないように、「おほほほぉ」も「いっぐぅぅぅ〜」も音楽として耳で捉えたほうがいいような気がしてきたから。行き場を失った目は代わりに絵に集中させられることになった。集中といっても気合をいれて凝視するのではなく、ただぼんやりと眺めていると、アンジェリカって声からすると粗野なお姉キャラなのに実は睫毛は丁寧に描かれていて女の子らしいところもあるとか、立ち絵は馬面っぽくてぜんぜん可愛くないが、一枚絵ではものによっては頬のラインと色がけっこう繊細なのがものがあるとか、アンジェリカが気に入らないのはザンバラ風な髪型のせいによるところが大きいけど、CGによってはなかなか綺麗なのがあるとか、要するに、物語を読むのではなく絵画を鑑賞するときのようなどうでもいい雑念が浮かんでは消える。絵画鑑賞とちがうのは、そんな風に眺めながらもBGMはぶっ飛んでもはや意味も解体されかけているエロボイスであり、プレイヤーはヒロインに屈辱的な調教を行っている最中であり、というか屈辱という言葉が滑稽に思われるようなバタイユ的な?二人だけの狂宴であり、いやむしろアンジェリカのエロボイスは一部狂宴というよりはホラーになっていたような・・・。テキストに比べると絵は大人しめなので、「アヘ顔」とかそういうレベルの表情でしか表現できないようなシーンでも普通のエロい顔だったりする。そんな顔を眺めながらうらめしやのホラーのようなエロボイスを聞いていると、絵とプレイヤーの神秘的な出会いの瞬間、ヒロインと主人公ではなくヒロインとプレイヤーという意味で、メタゲー的なあの瞬間が訪れる。Forestのアマモリとのエロシーンとかなんとなく思い出した。水仙花とか屠殺の園とかシナリオによって表現するのは分かるけど、絵とエロボイスの側からこっちへ突き抜けていくのは珍しいのかもしれない、けど、そうでないかもしれない。陵辱ゲーの教養がないので分からないけど、良質な陵辱ゲーというのはヒロインの痛みが主人公までしか届かないのではなく、プレイヤーまで届き巻き込むもののことをいうような気がするので。でもこんな読み方は勘違いもいいところかもしれない。ぼんやり眺めていたので抜こうとかいう気も起きなかったし。もちろん実用にはいつでも使える。好みをいえばフローラ。断然フローラ。その次は可愛いクリス。
 長くなったけど、これで終わり。製作者の方々、どうもお疲れ様でした。楽しませていただきました。