うえお久光『悪魔のミカタ666 1・2・3巻』

 ちょっとパワーダウンした感あり。ここまで積み上げてきた設定やキャラの相関関係の複雑さが仇となり、それを捌いているだけで話になってしまった。今までカッコよくもてる男だった主人公が半強制的に発情常態にされて、自分の周りのハーレム状態に改めて気づいてあせるというのは、普通とは順序が転倒しているようで面白い。といってもここに何かの皮肉がこめれれているわけでもないようで、ここからどんな「真のテーマ」が出てくるかはお楽しみ。出てこずにこのままドタバタで終わる可能性もあるか。後は、前作までと全体的に絵が変わったのは不評らしいが、特にナナナが何のカリスマも感じられず、完全に文章のほうに負けてしまっている感じがしてもったいない。