調教と寝取り雑感(イカミルク)

 久々にイカミルクを進め、ちょっと賢者モードになったところで胡散臭い分析を。
 調教ゲームはエッチシーンを中心に組み立てられているが、そのシーンは3つの要素から成り立つ。一つ目は調教前のヒロインや主人公の社会的立場とそれにまつわる感情的なニュアンス(ヒロインは家庭的な幸せを感じているか、主人公は自分の仕事をどう評価しているかなど)。二つ目はエッチシーンの官能性とそれにまつわる感情的なニュアンス(どれほど非日常的な快楽と美を得て、それに自ら圧倒されながらも飲み込まれていくか)。三つ目は調教によって生み出される新たな社会的関係とそれにまつわる感情的なニュアンス(「ご主人様とケツ穴雌奴隷」などの上滑りした現実感に戸惑いつつも、それを受け入れてしまうような刹那的な気分)。
 この三つの要素は互いに絡まりあっており、平穏で貞淑な妻の幸せを完全に否定して単なる痴女になったり、調教されることへの後ろめたさを感じなくなってしまったりしたら、調教ゲームはもともと単純な図式で出来ているだけに、たちまち骨格が透けて見えてしまってつまらなくなる。大切なのはこの三つの要素を結び合わせている感情的なニュアンスだと思う。落ちるまでの葛藤がウェットなものであればあるほどエッチシーンの官能性は際立ち、濃厚な喘ぎ声と混ざった迷いや諦めの言葉は不思議な熱を帯び、リアリティのないロールプレイに身をゆだねる二人の刹那的な気分には、思わず流されそうになる。主人公が単なる調教対象であるはずのヒロインに感情移入して引きずられてしまうことがあるのは、この「世界の秩序に反逆するかのようにあえぐヒロイン」にいつしか共感してしまうからなのだろう。その意味で今まさに落ちんとするヒロインの姿は悲劇的なまでに美しく、それがグラフィックやアニメーションでも強化されているのがこの作品の魅力。もともと調教されることへの感情的な揺らぎが少なく、すぐに快楽の探求に目がくらんでしまった優月のルートがいまいちで、後ろめたさと刹那的な気分が渾然一体となっている璃菜と美咲のルートに余韻が感じられるのもそのためだろう。・・・


 再び別の日に賢者モードで。上に書いたのは作品内だけで考えようとしたものだけど、やはり自分をもっと巻き込む羽目になってしまい書いたのがこっち。もう少し意味のあることを書かなきゃと思いつつも、分析の体裁も取れない恥ずかしい感想になってしまった。寝取り論はいつかの課題ということで。
 美咲はやはりすごい。肉感的な体を持て余す、押しに弱くて真面目な性格、というのにやられた。名前で呼んでもらえる主人公が羨ましくて仕方なくるという欠点があった瀬里奈をある意味で超えている。美咲は主人公の存在を食ってしまって、独壇場となっている。恋愛ルートのみが余韻のある良シナリオと思っていたが、寝取り調教ルートでもエロい長台詞と喘ぎ声を延々と漏らし続ける美咲に見入ってしまった。もともと自分向けではなかった体と心を貪るのを許されること、下品な言い方をすれば女を落とすこと、それがこれほど魅惑的なのはなぜか。神秘的なまでにエロい。エロくあるためにはそれに見合ったヒロインでなければならず、その意味でのオーラをまとったヒロインとして、美咲はすばらしい。彼女の台詞があまりに冗長で繰り返しが多かったり、主人公のマッチョぶりがばかばかしいくらいにしつこかったりというテキストの歪みのせいで頭に霧がかかってしまった気がしないでもない。実際、征服欲のようなものを満たされて自分を肯定したくなってしまう。男って本当に愚かだなあと思う分だけ、こうして美咲を称えておかなければ落ち着かないのである。この寝取りの快楽の力を何か前向きなものに使えればいいのかもしれないけど。とにかく、美咲には僕のほうが落とされてしまった。