こころリスタ! (雪音)

 雪音はあんまり書くことがないんだよな……。コンプレックスのお話だ。顔が主人公と似ていて地味で眼鏡で、胸が双子の妹よりも控えめで、そういう意味では星歌よりもずっと妹らしい妹なのだが、実は夢見る女の子で、地味な自分が何かに長じたいと思ったら「姉キャラ」になってしまい、なぜか家族や全校生徒の面倒を見るという貧乏くじを引いていた。地味だからがんばるしかない。強迫的なキャラクターだ。「だって……重い奴と思われるし。や、違う、ほんと思い出して欲しいと思ったわけじゃなくてだね……」というツンデレイントネーションのせりふにも、そんなコンプレックスの影が見える。この物語の展開で、主人公の周りに急に美少女たちが現れだしてからさぞかし焦ったことだろう。自分は姉役をがんばってきたけど、兄への気持ちは表には出せず、自分の部屋でこっそりコラや音声を楽しむことや、胸が大きくて包容力あるミューティのマスターとして振舞うことで満足していたら、そんな慎ましい喜び、妹サイズの喜びの日々さえもいつの間に色あせてしまうことだろう。
 その雪音だが、そういう風に思いを秘め隠していたからか、エッチが何気に過激になった。初めてが寝込みを襲う痴漢まがいのプレイで、最中の会話がやけにシリアスだとか、2回目がぶっかけてその後で見て欲しいだとかで、3回目はもうウエディングプレイである。妹力を返すための装置がなぜか大人のおもちゃになっている。地味っ子なのにどうしてこうなったかといえば、それはやはり地味っ子だからだろう。
 星歌もだが、雪音も兄との恋愛であることを真剣に考えていて、公に結婚するのは無理だし、子供を作ることも多分できないけど、せめて一生をずっと一緒に生きていければ幸せだと思っている。けっこう悲壮な人生観である。そして、「……簡単に言うわね。長年連れ添ってきた積み重ねはそんな……」という言い間違いに現れた無意識は、雪音の願いなのだろう。月並みな感想だが、なぜか犬耳メイドになってしまった妹に(またもや過激)、そんなふうに深く慕われてみたい、そしてそんな妹の願いに応えてみたいものだ。