シーンのつなぎ方と雰囲気

 笛子シナリオ1周目は、やはり最後まで何やらよく分からない。というか他のヒロインの1周目とは違って、あまり完成させようとはせずに前置きっぽい段階で終えているのかな。1周目では都市伝説的な雰囲気で引っ張っておいて、最後は矛盾する展開とスパイという種明かし。次周へ続く。シーンのつなぎ方の謎。ボウガンの解説が出てくるのは都市伝説的な雰囲気のためでとりあえずいいとしても、死ぬ順番の話をあずさにさせるのは何で?人死にが多いこのシナリオにおける、聖域の解体の可能性の話として?夕焼け空に向かって木から飛ぶ子供と壊れる姉の話は伏線でいいとしても、あのタイミングで挿入されるわけは?ピースがちぢに乱れるにしても、その乱れ方には何かの必然性があるはずなのに、それがつかめない。というか、音楽と雰囲気でうまくまとめられてしまっているような。
 続いて沙也加1周目。こちらは本作のテーマ的な部分がけっこうストレートに語られるので分かりやすい。いや、あの墓参りで禅問答みたいな対話は分かりにくいけど。ヒロインを対等な個人として尊重し、相手の領域に踏み込む責任を持たないせいでバッドエンド気味になるのが1周目ということでいいのかな。だとしたらあずさ1周目はバッドエンドにすら至っていないということになるので、このまとめ方ではおかしいか。演技としての優しさだったと沙也加は言うが、そんなに思いつめないでくれよ。頭いいのに何でそんなに短絡的になるの?それほど追い詰められていたのか、それほど長い間抱え込んでいたのか。それは後からシナリオを振り返っても取りこぼされる、音楽や空気で表現される領域なのかも。笛子シナリオで「そうか、君の外見が好きだったんだ」と閃いた忍を理解するのは難しいが(真面目に言うと、沙也加と違って、笛子は本当に他者っぽいということなのかな)、沙也加の美しさについては、エロゲーなので表情の種類が足りないのは諦めるとして、文章と絵がきちんと調和していると思う。しかし何とまあ年上っぽいヒロインか。こんなのと付き合ってたら気力が持たない。そしてそこがいい。こちらにだらける隙を与えず、背筋のまっすぐな、和風なカップルになれるんだろうなあ。しかも時々甘えさせてくれるし。・・・・・・。茶道(思わず僕も正座した)があれほど官能的なものだとわかったのは沙也加のおかげ。いいなあ、沙也加・・・(語彙が尽きた)。そしてまた謎が少し。沙也加が姿を消したのはなぜか。忍が依存を受け入れてくれず、「外」に向かったからか?そんな流れだったっけ?あー、笛子もだけど、この辺はユーザーとかそういう話なのかな?このシナリオ内では閉じられないのかな?あと、葉子はなぜ、沙也加の屋敷ではなくて商店街を探すことを勧めて、その後消えたのかな。どうでもいいことかな。