こころリスタ! (さち)

 メインライターとは別の人が書いたということと関係があるのかどうか分からないが、さちシナリオは結局最後までどこかちぐはぐな印象が残った。さちがなぜあそこまであの丸っこい兄にべったりなのか分からないし、主人公がお兄ちゃんと呼ばれる感覚もよく分からない。車の人の声が強すぎたのだろうか。それっぽいエピソードがなく、丁寧語ということもあり、妹感も幼馴染感もあまりしなかった。露出プレイに走るのも唐突な感じがした。あとペンペがエロくて参った。
 とはいえ、そのギャップを楽しめた部分もある。特に目を大きく見開かずにフラットに開けると、吊り目気味の不機嫌そうな黒目っ子になって可愛い。絵師さんは全体的にぷっくりしたほっぺを描くのがうまいが、そのほっぺがいっそう引き立つように見える。肩幅が狭くて撫で肩なのも素晴らしく、元気なポニーテイルもすっきりしたうなじも可愛い。要はさちの姿かたちが好きなのだと思う。車の人の声はキャラクターのビジュアルイメージとややずれていたのだが、無理やり合わせようとしないで、まずはさちの性格や姿かたちを思い浮かべて、告白した後で急に舞い上がってチャット魔になってしまうような幼さを思い出す。そしてその後で本来はそうした幼さとは遠いはずの車の人のあの声をかぶせると、なにやらそのギャップを意識してこそさちの個性が浮かび上がってくるような気がして味わい深い。絵だけを見ていると結構妹感がある気がするが、声も合わせると違ってくる。そんな揺らぎがあるから、きっと一緒にいて飽きないのだろうなと思う。一緒にジョギングとかしてこころをムキムキしたい。