どうにもならなそうなこと

 趣味の壁は三次元の壁と同じくらい高い。言葉で伝わること、説明して説得できることのさらに先に趣味の領域がある。
 以前に仕事でご一緒させていただいた関係で招待券をもらい、上坂すみれさんのライブに行ってきた。オタクイベントに行くのは2,3年前のかわしまりのさんのトークショー以来で、当然ながらライブは初めて。上坂すみれの歌やキャラクターについては2年前に苦しげな感想を書いた通りで、その後もまだ取っ掛かりをつかめずにいる(つかもうとしていない)。アニメ声優としもアイドルとしても成功していってるのは喜ばしいけれども。


 ライブの歌は、多分ありがちなことなのだろうけど、演奏の音量が大きすぎて声がよく聞こえなかったところが多くて残念だった。大半がアップテンポな曲なので声が荒れてしまうし、曲自体もいまいちなものが多いので、声を良く聞けたとしても楽しめたかどうかは分からないが。知っている曲では唯一の割と好きな曲である「テトリアシトリ」(作詞作曲・桃井はるこ)は、視覚的な演出も含めてけっこう丁寧に聞かせてくれたので嬉しかった。あとは何というかしょっぱい曲が多いのだが、上坂さんの前向きな性格とファンの人たちのエネルギーの勢いで乗り切った感じだ。サイリウムの統率感や野太い声の必死さはむしろ心地よく、「かがやきサイリューム」とかこんな感じなのだろう。けっこう危ういバランスだと思うが、ラジオとかでしゃべり慣れている声優だから、若さでごまかさなくても、音楽だけじゃなくてホスピタリティみたいなところで楽しませてくれるのがよい。いまいちであっても、なんかMCでしゃべるためのネタとかちゃんと考えているみたいで、そこは応援したくなる。あと、やっぱ整った美人なので踊り回っているのをただ見ているだけでもそれなりに絵になってしまう。三次元の壁がとか何とか言っても、アイドルが太ももや腋を惜しげもなくさらして動き回っているのには目を奪われてしまうおじさんである。上坂すみれの声は張りがあって弱くない、お姉さん声なので萌えるのが難しいのだが、それなのにひらひらの服を着てアイドルをやっているという論理が飲み込めず混乱するおじさんである。その若さ、美しさは涼しげで、意味が分からないけど(まだこれぞというはまり役を見たことがないからかもしれない)、分かろうとせずになんとなく視線を奪われて置けばよいのだろう。どうもありがとうございました。以上。
 徳が高いエロゲーマーであり、素晴らしいアジテーターであるtempelさんの素晴らしいエントリを読んでエロゲーをやりたくなり、挙げられたゲームの体験版をいくつかやってみたけど、自分でやってみるとあんまり面白くないんだよな。大図書館の羊飼いもそうだった。とても説得力のある感想なのに(特に僕がけっこうひどいことを書いてしまったCationシリーズに関する指摘には唸らされたし、女の子をチヤホヤできない男としては耳が痛いところもあった)実際にプレイしてみると合わないという趣味の壁。自分の許容幅が狭すぎて情けない。もっと楽しんだほうがいいよと人から言われることも多いのだが、趣味だからこそ無理して何かを受け入れたりはしなくてもいい。絵がきれいな星織ユメミライなら何とかなるかなと思って買いにいったけど、高かったので結局事前情報ゼロで美少女万華鏡というの選んできた。八宝備仁氏の絵は以前に能天気な抜きゲーをやったら失敗して苦手意識を持ってしまったかも知れず、このシリーズで楽しめるように慣れるかもと期待している。