しっかり調教されて、晴れ晴れとした爽やかな読後感・・・。罵倒されたりお仕置きされたり無視されたり、ご褒美に撫でてもらったりエサをもらったり・・・・・・お嬢様たちに服従する喜びを堪能。キャラ立ちは充分だけど物語性が薄く、各種のマゾシチュエーションをループ構造の中に閉じ込めたような作品。何度も既読テキストをスキップするのは面倒だったし、何度も寝そうになったけど、終わってみれば、そのうちまたふと引きこもりたくなるような居場所を提供してくれる作品のように思える。
（以下、ちょっとネタバレ注意）
当然のことだけど、初々しい女の子との純愛のような要素がない、つまりキャラゲーではないのでつらかった。同じく自己言及的なところのある水仙花もそうだったけど、攻めと受けのロールプレイ的要素が強まることでか、ヒロインが抽象的で取替え可能な存在に見えてきてしまい、普通のエッチのロマンチックなドキドキが後退してしまうのが残念。エロさに一番興奮したのが、マゾプレイのシーンではなくて純愛ルートのエッチだっとたいうのは我ながら情けない。マゾエッチや日常でのマゾシーンは、とても甘美な快感を与えてはくれるけど、劣情を煽られる感じはあまりなかった。精神的マゾというか。まあ、抜けることだけがエロさの証明というのも窮屈な話なわけで、こういうちょっと高踏的な（？）快感の追求はよいことだと思う。
麗華お嬢様に罵られるの気持ちいい！祐美子お嬢様にじゃれつくの気持ちいい！よだれ入り・ゴキブリ入りの残飯おいしい！かおるこおじょうさまのくつしたくさくておいしい！！etc, etc...
志乃さんがけっこう濃いキャラなのもよかった。グモルクとの会話もかなり逝っちゃってて面白かった。主人公もだけど、裸でうろうろしているのがなんかおかしくて良い。ついでに、主題歌とOPムービーもなかなか良くて、起動するたびについつい見てしまった。感情移入するのは不可能だと思っていた環も、終盤ではあるじに相応しい魅力的なヒロインになっていてよかった。あれで環もやっと安らぎを手に入れられるのかと思うとちょっと感慨がある。
今回は珍しく攻略チャートの世話にならず、（難易度は高くないけど）苦労して自分で最後までできた。ただし、ループ構造とテキストの使い回しの噛み合わせについてはかなり不親切だったと思う。テキストにもっといろんなバリエーションがほしかった。あと、主人公の悲惨な日常はもっとたっぷり書いてもよかったような気がする。マゾっぽく。
主人公のたろについては、改めて言うまでもないかもしれないけど、成功した主人公の好例になると思う。黒須太一のような超人でなくても、赤ちゃん人間でもよかったわけだ。なにか後ろめたいもの、忘れてしまいたいような記憶――原罪といってもいいけど――を持っている人なら誰でも自分を投影できる。
（BGM：Neko57v110でoggで抽出後、lilithでwaveに。全体的に短く（1分前後）、先頭が切れているものも多いので、あまりいいサントラは作れない。主題歌は特典CDに入っている。予約して買えばサントラもらえたそうで。）
