久々に落ち着いたひと時を過ごせたのは、テレビでやっていたソ連アニメの「人魚姫」のおかげ。昔見たギリシャ神話の一つ目巨人ポリフェームのアニメもそうだったけど、恋愛物のソ連アニメは結構いい。題材もいいのかもしれない。ポリフェームはモローやルドンも描いた象徴派好みのものだし、人魚姫、ロシア語題はルサーロチカも、ロマン主義の時代に流行ったあとは世紀末からアヴァンギャルドにかけて繰り返し扱われた。由来としてはどちらも民話で、悲恋物の民話や神話に詩人の手を加えてバラードやなんかにしたものには、今までもたまにツボを突かれることがあった。いやな現実をひと時忘れさせ、心を落ち着かせてくれるような気がする。
久しぶりの休日でゆっくり引きこもってネットを見たりエロゲーをやったりしたいのに、ああ、今日も上司のお供で歩き回る。しかも夜にはちゃんねー呼ぶとか言ってる。これから仕事で必要になるかもしれないから・・・。罪深い人間なのでそれなりに楽しみではあるけど（ロシア人というのは言うに及ばず、プロの人にお世話になったことがないし）、それでも気晴らしになるというよりはむしろ気が重くなりそうだ。オタクにとっては個室は聖域だといわれているけど、個室的な空間と時間を奪われることほどつらいことはない。ここ数週間の間、気を休める気になれなかった。それをいえばそもそも社会人になること自体がつらいわけだが。こんな出張をこれからは何度もするわけか・・・。
何とか自由時間を作ってぶらぶら歩き回った。今いるのはそれなりの都市なので久々に本屋に行ったり。村上春樹のコーナーがすごかったこと、推理小説とファンタジー・SF小説とハーレクイン風女性小説の棚がさらに膨れ上がっていたことのほかには、数年前とほとんど変わっていなかった。地方都市なので哲学や人文系研究書の棚が貧弱なのは仕方ないとして。また来ることもあるかもしれないから、この次はもっといい本屋を探してみよう。
この町の観光記念絵葉書（見開きカード型）を見てみたら、写真で撮った町を背景に、アニメ絵のロリっ娘が描かれたシリーズがあったので思わず買った。ものによってはエロゲーレベルくらいまできれいに描かれていて感心した。中を開くと俳句（三行詩）が書かれており、夕暮れの町を背景に、金魚の入った金魚鉢を手にして、見返り美人の姿勢でこちらを振り向く、着物姿の猫耳ロリっ娘の絵葉書では（これが一番できがよい）、「町は夕暮れ。三つの願い事はいらないから、あなただけがほしい」というような意味のロシア語の詩。他の絵葉書もそんな感じのばかり。これは多分、この町に来た年頃のアニメ好きの女の子が、旅情と恋心を込めて、好きな男の子に送るためのものなのだろう。Точка зренияトーチカ・ズレーニヤ（視点）社というところのシリーズで、会社のロゴのデザインにはアニメ系の眼が組み込まれている。
あと、エロゲーも買った。「プライベートナース・愛の処方箋」とかいうような感じのタイトルで、テクストはロシア語訳されているが、音声は「本物の愛好家のために」日本語がそのまま残されているとのこと。約800円で、店員に聞いたら版権はちゃんととってあると言っていた。それなりに売れているらしく、全部で10タイトルくらいはあったが、発売は2006年とかだけどどれも知らない古そうなゲームだった。これはジャケット絵が一番ましだったので買ってみた。ロシア語のXPなんて持っていないわけだが。ケースを見る限りでは、machostudio.ruがメーカーでwww.cdnavigator.ruがディストリビューターなのかな。エロゲーでロシア語を勉強したい人がいたら役に立つかも。
DVDエロアニメも一つ買った。アンソロジーらしく、タイトルは「ヘンタイ１」。15作入っているが、タイトルが抽象的だし（「愛の授業」とか「女王と女奴隷」とか）、エロアニメには詳しくないので何のことかわからない。ジャケットはダカーポの音夢に似た看護婦が前かがみ気味の姿勢で微笑んでいるものだが、これも古いアニメばかりなのだろうか。750円くらい。店員に聞いたところ、字幕ではなく吹き替えされていて、それなりに売れているとのこと。エキスパート・ビデオというのがメーカーらしいが、ケースを見ると大手民放局CTC（STS）のマークがついている。
あとは本屋で「ツァラツゥストラはかく語りき」の朗読CD（700円）。以前はカセットテープで古典作家の短編や詩人のアンソロジーなんかが出てたけど、最近はmp3のCDがかなり浸透している。これも10時間24分が１枚のCDに入っているから便利。読んでいるのはイリーナ・エリサーノワというたぶん女優。日本でも、最近の流れならエロゲー声優の読むにーちぇとかさっふぉーとか出せそうな気がする。
ロシア人のペースに合わせて飲んでいたら、またもや酔いつぶれてしまった。おかげで風俗の人を呼ぶ話が流れたのでよかった。
