年末年始などに「客を呼ぶ」場合、憂国の右翼篤志家老先生を呼んで気炎をあげるか、30年近く統合失調症を患っている友人をを呼んで面白い話を聞かせてもらう代わりに宗教的な説教をするか、というのが最近の我が家の父のパターンだったが、今回は後者だった。スキゾフレニーは、芸術的才能として開花している場合はいいが、病気として発症している場合は、本人が苦しむだけでなく、周囲の歪みのようなものを映し出してしまう鏡のようなものとなるため、場合によっては困ったことになる。我が家の家風にはパラノイア的なところがあるのであるので、なんかうまくバランスが取れているところもあるかもしれず、社会不適合の弟と、何とかそれを社会に出したい両親の澱んだ関係を分裂症氏がうまく掻き回してくれたりもする。穏やかでよどみのない饒舌の中に、同じ穏やかな調子で幾度もの自殺未遂の話や、テレビの女性アナウンサーや政界出馬に関する現在進行形の妄想が織り交ぜられており、無駄に記憶力がよく、無駄に頭の回転が速い。ベローナは小さい商店街的なところがあるという点で吉祥寺と似ているのですかそうですか・・・。
あとは、久々に実家の書庫を眺めてきた。パステルナーク全集、ヴィゴツキー論文集、エイゼンシテイン論文集、アファナーシエフのフォークロア研究・・・いつか読める日はくるのだろうか。とりあえずバフチンの論文集『叙事詩(エポス)と物語(ロマン)』と、日本語のを少し持ってきた(キャロル対訳詩集、英米対訳童謡集、うねめ)。
しかし、若いころからドストエフスキー好きの優しい叔父が、貧乏した上に白血病になって入院しているという。どうなってんだよまったく。
・・・・・・。結局、風邪を押してコミケ行ってきた。
- あらきまき+田中ロミオ『最果てのイマ・ラフ画集』。また少しずつ2周目を進めていきたい。「原形行使者」はシリアスでよかった。そのまま作中に入れても違和感はないと思う。戦争編は理論的な部分の展開がスリリングでそれだけでも楽しめたけど、キャラたちの物語もこんな風に入れてくれるとさらによかったはず。情報が脳みそから空気中に漏れてしまうというとワクワクするような話なのだろうけど、それとフリークス化との結びつきをあまり意識していなかったので整理された。衰退の片栗粉になる知能も同じ系列なのだろう。そこに絡んでいく南のウェットな物語がよかった。家族は壊れてしまってもやはり守らなくてはならないときがあるんだなあと。
- 東浩紀『ギートステイト・ハンドブック』。語り下ろしの新刊は売り切れていたので、手持ち無沙汰で買ってみた。こちらの体調が悪すぎてご本人とは話さなかったけど、実はエロゲーの話を聞きたかった。でもフリーペーパー読んだら最近はほとんどそっちの方は触れていないらしいので、よかったかもしれない。僕自身今年を振り返ってみると、どうやら25本プレイしたらしく、CARNIVALやキラ☆キラやまり∽くりやR.U.R.U.R.などの意欲作に出会えたのはよかったけど、昔やった鍵ゲーのインパクトはまだ乗り越えられていない。今年印象に残った作家となると、瀬戸口廉也と中村九郎になると思う。
- d2b「Love」。買ってしまったけど、好きな歌はここにはないっていないa song forやキラ☆キラだったりする。せっかくbambooさんに手渡ししてもらったけど、ここもろくに話もせずすぐに離れた。おつかれさまです。
- 佐倉紗織「True My Heart」。残念なことに目当てのLovableは売り切れ。ご本人の笑顔を頂きつつ。
- くじういんぐ編『Memories of the bright season』(ONE同人短編集)。入魂の1冊の模様。後でゆっくり読んでみる。
- みさくらなんこつ「朝からずっしりミルクポット」(マンガ+ゲーム)。チェックしていなかったけど、通りがかりに見つけて買ってみた。みさくらさんが気合入れてシナリオまで書いたとのこと。正月中にできるか。