Fate/stay night (75)

よかった。自分みたいなやつでも、やった甲斐あった。


(セイバー編:http://d.hatena.ne.jp/daktil/20081214
(凛編:http://d.hatena.ne.jp/daktil/20081217


〜桜編〜
 おそらく大方の人たちの感想と同じで、このシナリオはあまりとんがったところがなくてあっさり気味に感じた。桜のキャラはとても好きだけど、他の登場人物の話(というかバトル)が詰め込まれすぎて、軸がぶれた観が。それでもノーマルエンドのほうはまだよかった。ライターさんがこういうヒロインが苦手なのか、割と通り一遍な外からの描写(激情系)が多かったけど、桜にも静かな喜びや悲しみの積み重ねがたくさんあったはず。乱暴なバトル物ではなく、もっと静かな物語だったら映えたのかもしれない。そうすれば彼女が悪に染まったときの不安や心細さをもっと切実に感じられたかもしれない。セイバーや凛と違って、桜は(こんなことをいうと失礼かもしれないが)身の丈にあったヒロインだと思う。天才じみたところのある他の二人との物語の後で、この未熟な少年と少女の迷走に巻き込まれろ。愛を誓ったはずなのに物事はきれいに進まず、無駄に傷つき、すり減らされる。理不尽なことだ。普通の僕らには真っ直ぐな信念を貫き通すことなど出来ず、同じように苦しんだ人とのみ落ち着けるのだろう。なんだかエンディングを見ていないかのような感想になってしまったが、こんな半端な感想でもとにかく何か残しておきたいと思って。聖杯戦争なんてものがなかったら、あの配置なら普通に桜を好きになっていたはずだし、弱い桜を通して見えてくる本作の世界は、不思議と優しいものになるんじゃなかろうか。


 というわけで大作Fate/stay nightも終わってしまった。互いをぶつけ合って、傷つけあって、その果てに救われたのかどうかなんて本当は分からない。これだけ多量の言葉を費やして語られた物語でも、まだ残された余白がある。
 でも、そこはよい場所のはず。
 (Мое слово крепко!