Fate/stay night 〜セイバー編〜

中二病云々はいまさら言うことでもないので極力書かないようにしたい(自戒)。


 セイバーシナリオ終了。
 先にアニメ版を見てしまっていたことが災いしていろいろと物足りないところが目に付いてはしまったけれど、とてもよい話だった。いや、よいのはストーリーではなく、感覚とかイメージとか余韻とかの方で、自分がこれまでイギリス文学やケルト文化を窓口にしてもらってきたものを久しぶりに見ることが出来た。セイバーのイメージや生き方を表す色が、イギリスの荒野やそこにそそぐ光のイメージととてもよく合っていて、作品の舞台となっているどうしようもない日本から幻視することが出来るという、その距離感がよかった。このセイバーに見合うだけの主人公ということで、士郎はかなりキャラが立ってしまっているのでこの作品で萌え的に没入することは難しくなっているけど、その代わりにセイバーの孤高で美しいイメージは純粋なまま残り、王道的な意味での萌え度いうか魅力は強い。
 テス、湖上の麗人、倫敦塔、イエイツ、シェイクスピア嵐が丘、ブレイブハート・・・。特に意識していたはずはないけど、偶然手にとったイギリス・ケルト関連の物語(特に悲恋物や中世物)には印象的な哀愁と広がりを持ったものが多く、その影を求めて英語の出来ないままちょこっと旅行したことのあるアイルランドでも、興ざめな観光化されたパッケージの陰に何かを感じることが出来た。風景画というよりは抽象画に近かったセイバーと最後の言葉を交わした場所も、あの時登ったケルトの丘から見た風景だか、それともいつかテレビか何かで見たイメージだかわからないけど、どこか懐かしい感じがした。そんな妄想や幻想はそのままに、実生活では士郎のように爽やかに生きていければいいんだけどな・・・。