明日の君と逢うために:七海/真奈美

 明日香、里佳とテンションの高めなヒロインのルートに続いて一日でまとめてやったら、さすがに脳の許容範囲を超えてしまったようで、やってて疲れてしまったのがもったいない。
 里佳シナリオで一度きれいに閉じた作品だが、この2つのシナリオは最後までなんだか本編から少しずれた感じがしていた。七海はもともとサブキャラだったせいか、必要な設定は全てサブキャラとしての活動で全て消化できるようになっていて、メインヒロインに昇格してもキャラの「内面」が次第に明らかになっていくようなことはなく、全てはキャラを動かすというアクションで話が進んでいったので、受動的に読まされているようになりやすくて疲れた。二次元的に喜怒哀楽が激しくて裏がないというのもまた。七海の立ち絵は斜め向きがあまりなくて体が正面を向いているものが印象的で、頭の形が丸く、目も大きく開いている。馬鹿正直でまっすぐな感じだ。ポイントとなるはずの属性もことごとく「無駄」なものとしてまとめられている。つくづく損な役どころなわけだが、そんな風に武器の使い方を身につけないまま、貧相な装備で体当たりの恋愛をして見せたのが七海の素直で健気なところという見方もできるかもしれない。
 真奈美シナリオに至っては本編ではいわば象徴に過ぎなかった「向こう」を具体化してしまうという、いよいよ二次創作的な展開まで入ってくる。「ライオンと魔女」みたいな設定をはさんでいたのでまだ抑制が効いていてよかったけど、シナリオの展開の仕方には余計な妄想を読み込めるような余地はもはやなく、この作品に収められなければいけない必然性はあまり感じられなかった。強いて何かを挙げれば、手足が長いヒロインという印象で、腕の怪我やピアノの演奏などのような身体性を意識させられるモチーフが多かったので、そこらへんを妄想すると可愛くてエロくてよい。森の曲のイメージと合わせて。