眠りの余白に

花物語 (講談社BOX)

花物語 (講談社BOX)

零式 (ハヤカワ文庫JA)

零式 (ハヤカワ文庫JA)

 本の感想というよりは日記。本の感想を書くには内容に触れなくてはならないけど、それが面倒なときもある。エロゲーにしても本にしても、感想を書くのは、やがて風化してしまう気持ちを嘘くさくてもいいから固定化しておきたいという欲望から来るものだけど、ある程度のエネルギーを注ぎ込んでそんな作業をするよりも、ただ読後感に身を任せてぼんやりまどろむほうが無責任だし心地よいのは当たり前で、それでいいやと思うことが増えたくらいには最近はだらしなくなってしまっているのを感じる。がんばったけどすぐには結果が出ず、この先もまだもう幾がんばりも必要な仕事があって気が重いときなどに陥る憂鬱な気分に囚われて、昨日と今日は面白い小説を読んだけどテンションも上がらず、鬱気味でひたすら眠り続けまどろみ続けて自然と気力が溜まってくるのを待っていた。こんな風に脳みその洗濯が定期的に必要な人間が、あんな責任のある仕事をこの先も続けていけるのかね。そもそも社会生活を営めるのか。そういう気分の文脈で振り返っても神原駿河の暗い反省話は共感できるかもしれない。いや、いつもの通り滑らかな語り口で大変読み心地のよい小説だった。やはり誰かを傷つけてこその青春。『零式』は偽史物という点で二重にフィクションだけど(くさいカタカナ語も含めて)、その虚構世界の事物の五感を刺激する生々しさが印象的で、そこで表出される情感の強さもいい。最終的に二人は偽史という歴史を突破し、抜け出ることで自由を得て、解放される。あとは僕なり誰か他の読者たちの脳みその中でで申し訳ないけど、もう好きにしてくれていい。
 何年経っても解決しないままだった。気分が沈んでいるときにはやはりずっと眠るだけなのがいいのだろうか。こんな状態のときでも何か書けるモードを用意しておいたほうがいいのだろうけど、何年経っても解決していない。とまあこんな愚痴っぽいことを書けるのも少し元気が出てきたからだ。あと、姫さまはプリンセスがけっこう面白くてだいぶ進めたけど、こんな有様ではろくな感想が書けそうもないな。