流れない時間

 しばらくブログを放っておいた間にアクセス数が20万を超えてた。といっても今過去を振り返ったりしても特に何かが見えてくるわけでもないのでこのまま流してしまう。30万に行くときまでこのブログを楽しく続けていられますように。


http://ml.naxos.jp/album/NF9993
 ErogameScapeのマルセルさんの親切と博識のおかげで、ワンコとリリーの長文感想からクズミンの歌曲アルバムのことを知ることができ、今日の昼休みにタワーレコードに行ったら折りよく在庫があり購入した。『アレクサンドリアの歌』も宗教詩も黙読したときの印象とは違うけど、クズミンらしい明るさが感じられて懐かしかった。むしろ声がついている分だけ即物性が増し、妖しい退廃性が薄れたようにも感じた。たぶんサロン向けに擬似教会スラヴ語で聖母マリヤや審判の日のことを書いて歌うのは冒涜的なことなのだろうけど、嫌味に聞こえないようにきれいで悲しい作品にしてしまうのはクズミンならでは。そういえば、以前なぜか人類は衰退しましたの感想ついでに訳した詩の歌もあった。
 もうひとつ嬉しかったのは、結構まじめにつくられたCDだったこと。革命が起きてローマに亡命したヴャチェスラフ・イワーノフが残した足跡がこの録音の作成に一役買ったというのはいい話だ。昔ペテルブルクの“塔”があったところに僕も行ったことがあるけど、そのときは建物の外壁にメモリアルプレートがひっそりと張ってあっただけで、建物自体は普通の住宅かあるいは空き家かなにかで、銀の時代をしのばせるものはペテルブルクの街並みと、少しアール・ヌーヴォー的なデザインがあるようにも見えるぼろぼろの扉くらいだった。モスクワのリャブシンスキー館(だったっけ)はソ連時代にゴーリキーが住んでたおかげもあってアール・ヌーヴォー建築がきちんと保存されていた。そうでなければ朽ち果てるに任せるだけかと少しさびしかったけど、あの塔も今ではきちんと保存されているのかもしれない。ブリューソフの家博物館であったミニコンサートでスクリャービンピアノ曲とかプロコフィエフ(だったか)やもっとマイナーな当時の作曲家たちが日本の短歌に合わせてつくったロマンスとかも聴いたのを思い出した。今でもやってるのかな。