- 作者: グレッグイーガン,Greg Egan,山岸真
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/10/01
- メディア: 文庫
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連続と断絶というテーマに触れるに当たって、わが駄文日記ブログのみっともなく残念なことよと思う。2週間に一回くらいしか書けないし、毎回全てを書ききれているわけではないので、いつも何か書こうとしたことの残骸以上のものにはならないし、内容やテーマを選別していないので温度がばらばらだし。
イーガンの小説は娯楽性への配慮があまりなく(訳文が悪いのだろうか)、ぐぐっと引き込まれるのはいつも終盤になってからで、それまではひたすら話をおっていくだけでもけっこう大変。本書では、面白いアイデアはたくさん出てきて飽きなかったけど、ストーリーやシーンに引き込まれたのは結局最後の5ページくらいだったような気がする。あとはひたすらアイデアと実験の繰り返しについていっていただけというか。SFとしては王道的なつくりなのだろうか。もうちょっと読んでみたかったと思ったのは、7000年も生きた人々が、その果てにいったいどんな知性や精神を手に入れたのかということ。みんな案外普通みたいでしたからね。有限な三次元の桎梏から放たれ、無限の物量を手にしたとき、量が質にどう反映されるのかというのが見所のはず(古臭い心身二元論みたいですが)。その辺へのツッコミがまだまだベタな感じだったり足りない感じだったりした気がするけど、まあ、次の『ディアスポラ』でまた読めるかな。
本書では時系列の操作やルート分岐やコントロール可能なプログラムとしての人格など、またもやエロゲー的な話題がたくさん出てきた。エロゲーでは選択肢を選択することによって、もっといえばクリックして文章を表示させて立ち絵を動かすことによって、ヒロインの精神がコロッと変わってしまうかのようなことになっている。クリックする前と後の2つの断絶された状態を連続させる際に跳び越えなければならない一瞬の空白(テキストとグラフィックとの間の空白、音楽とグラフィックとの間の空白、プレイ時とプレイ後との間の空白とかいろいろ)、これをどううまく掬い取れるかにエロゲーや小説のセンスがかかっているのだよなあと。そして本書では本編部分の最後が特によかったかなと。