2010-01-01から1年間の記事一覧

Angel type (50)

語り口がべたで話が短いので入っていけず、重い話のはずなのにちょっとした青春の寄り道程度の手応えになってしまい、なんかちょっと申し訳ない気持ちになる。曲がりなりにも数年前に社会人になってしまった人間なので、主人公の抱える問題が遠すぎるという…

十文字青『萌神』とか…ガス欠

萌神 (一迅社文庫)作者: 十文字青,ま@や出版社/メーカー: 一迅社発売日: 2010/07/17メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 32回この商品を含むブログ (18件) を見る この人の小説を読むのはぷりるんと絶望同盟に続いて3作目。タイトルがすっきりしているのでな…

書くときの壁

『暗い部屋』の感想を書こうか書くまいか。欲望のフックがないと書く意義も発生しないのだろうか。 プラトーノフの短編集を読んだ。『土台穴』(亀山郁夫訳)で見せた異常な言語・情念空間は弱めに抑えられ、割と普通に前線従軍作家としての平和な国の僕たちに…

クドわふたー (85)

(承前。だらだら続けます。ネタバレ注意) 1週目終わり。 別にシナリオに文句をつけるつもりはないんだけど、どうしたものかと思うところはあった。少なくとも、こんな風にゲームをやって流してしまっていいのだろうかと思った瞬間はあった。小学4年生に突き…

Только моя Кудрявка (妄言)

クドわふたーの店頭デモムービーはひどかった。クドリャフカ自身は悪くないのかもしれないが、作り方が狙いすぎていてとにかく気持ち悪かった。作り声と舌足らずな話し方が内輪向けに媚びた感じを漂わせ、しかもなんだかんだいってよく通る声だから、店の中…

作品を試して、自分を試す

2ちゃんねるのRewriteスレでけっこう楽しそうだったので期待していたが、やってみるとゆるいところも目に付く。最果てのイマみたいな終末感がないのが物足りない。自分にとっては最果てのイマ以来のロミオ作品で、Clannad以来のいたる絵なので声があるのは…

ほんとにどうでもいいことだけど

メドヴェージェフ大統領のツイッターの初投稿を見たら、タイプミスのせいでちょっと卑猥な感じになっていた(Всем привет! Я в Твиттере и это мое6 первое сообщение!)。ぐぐってみたら早速"мое6"に関する話題がたくさん出てきた。キリル文字のeと6は隣に並…

甘えむっ♪〜おかあさんのかぞくけいかく〜 (75)

いまさらな話ではあるが、正直言ってライターのHAIN(猫乃烏)さんの作品を構成する嗜好や書き癖は、僕の好みと合うことより合わないことのほうが多いのである。作品をプレイしながら「ここが残念だ」と思うことは多い。自分にはそもそも創作自体ができない…

また古いもの

週末は風邪で寝潰してしまった。エロゲーは先延ばし。代わりに前から掲示板等で気になっていた絵師の人の名前が分かってお世話になった(あぶぶさん)。 いくら眠っても眠りの快楽が減らない、って先週も書いたな…。30台の余暇の過ごし方の最大の贅沢が寝る…

古いもの

最近はようやく身の回りが落ち着いてきたけど惰眠をむさぼってばかり。眠っても眠っても気持ちいい。ちょっとずつ読んでいる本に「ヴェルギリウスとの二千年」という論文があって、著者がやたら熱くヴェルギリウスとシャルル・ペギーについて語っていて興味を…

世界でいちばんNGな恋 (70)

エロゲーで夢を見るというのはどういうことなのか、改めて考えさせられる。 シナリオゲーには社会人物が少ない。だからたまに当たると面白い。でも今まで当たったのは社会人といってもイレギュラーで、アルバイトとかブルーワーカーとか。会社組織のしがらみ…

ロシア人の見る現代日本

写真もうまいけど、ロシア語の解説が親切で感心する。 http://valkorn.livejournal.com/751675.html ロシア人といってももちろんオタクの人。今度狼と香辛料の正規ロシア語版を出すらしい(ホロ:オリガ・マツケーヴィチ、ローレンス:ワシーリイ・マルコフ…

Angel Bullet (70)

エロゲーをやって語るようなことじゃないのはわかっているけど、それでも変なスイッチが入らざるを得ないような作品だった。アメリカに関係のあるものは身の回りにあまりにも多くて、あとは家風が頑固なアメリカ(と革命ロシア)シンパで子供のころから合衆…

中村九郎『曲矢さんのエア彼氏3』

曲矢さんのエア彼氏 3 (ガガガ文庫)作者: 中村九郎,うき出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/04/20メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (18件) を見る 中村九郎が堕落し始めた。残念だがだいぶ言葉の密度が落ちてきている。主人公…

朱門優『ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと』

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。 (一迅社文庫)作者: 朱門優,鍋島テツヒロ出版社/メーカー: 一迅社発売日: 2010/04/20メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 43回この商品を含むブログ (18件) を見る 実は前作は読み終えてからも何度か気に…

素晴らしき日々 (80)

まとめリンク: 1 http://d.hatena.ne.jp/daktil/20100411 2 http://d.hatena.ne.jp/daktil/20100414 3 http://d.hatena.ne.jp/daktil/20100418 4 http://d.hatena.ne.jp/daktil/20100424 5 http://d.hatena.ne.jp/daktil/20101123 6 http://d.hatena.ne.jp/…

素晴らしき日々雑感 音のあるところ (Which dreamed it〜)

羽咲の話。由岐の話。彼女たちにも幸せな時間があったことが分かって話が収束していく。子供ころ、田舎の空気、とくればそれが遠いものであればあるほど、遠近感が狂ったかのように鮮明に感じられる。子供のころはいろいろと邪魔なものがないので、善意も悪…

素晴らしき日々雑感 象徴 (Jabberwocky)

やはり前章のざくろの印象が強烈過ぎてあまり入り込めなかった。二日くらい寝込んでゆっくり消化してから進めばよかったのかもしれないが、そうもいかないのだから仕方ない。それでもさすがに最後の向日葵のシーンだけは素晴らしかった。まさか美少女の絵で…

素晴らしき日々雑感 重力 (Looking-glass Insects 2)

この作品はいちいちかなり感情移入しながら進められていたわけで、そのおかげでこのルートでまともに毒を浴びた。強い負荷がかかりっぱなしで、読み終わっても悪夢の余韻が冷めず、ばかな話しだけど今日はまるで自分がざくろになったかのように身体に力が入…

素晴らしき日々雑感 希実香の背中 (Looking-glass Insects 1)

先に進んだルートがハッピーエンド過ぎて、残りの選択肢を選ぶのが怖いんだけど・・・。 穏やかな日常というのはこうも危ういバランスの上に成り立っているのか。世界に抗う女の子たちということで、あんまり似てないけど桜庭一樹の小説とかを濃厚にしたよう…

素晴らしき日々雑感 意味の制御 (It's my own Invention)

案の定重い話で、終わった後しばらく寝込んでしまった。前作は音声がなかったのでテンポよく読み進めていけたおかげで表面を滑っていった言葉が、今回はテンポが悪くていちいち重く残っているということがあるかもしれないけど、やはり僕の側の条件が変わっ…

素晴らしき日々雑感2 光の比喩 (Down the Rabbit-Hole)

第1章が終わったと思ったらまだその前半(?)だった。とてもいい終わり方だった。というのも、話がどんなに閉塞した出口のないものであっても、宮澤賢治のテクストはそこに風穴を開け、広がりを作ってしまうから。日本近代文学とか私小説とか言うときに感じ…

素晴らしき日々

を買ってきた。今読んでいるテッド・チャンの『あなたの人生の物語』のある短編から取られたらしい言葉が章名に使われているを見て、これも何かの縁かと思い。会社の所在地が最寄り駅から歩くあいだにとらのあな、ソフマップ、ゲーマーズが途中にあるという…

新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー』

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)作者: 新城カズマ,鶴田謙二出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/06/16メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 560回この商品を含むブログ (353件) を見るサマー/タイム/トラベラー (2) (ハヤカワ文庫JA)作者: …

福嶋亮大『神話が考える』

神話が考える ネットワーク社会の文化論作者: 福嶋亮大出版社/メーカー: 青土社発売日: 2010/03/25メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 179回この商品を含むブログ (62件) を見る 動ポモの正統な続編は『ゲーム的リアリズムの誕生』ではなく本書だったとい…

サイニー研究会『さあ、やってみよう 〜催眠オナニー入門〜』

さあ、やってみよう~催眠オナニー入門~(CD付)作者: サイニー研究会出版社/メーカー: メディアックス発売日: 2010/03/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 39人 クリック: 1,693回この商品を含むブログ (26件) を見る 紀伊国屋、ゲーマーズ、ソフマップ…

SFマガジン編集部編『ゼロ年代SF傑作選』

ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)作者: S-Fマガジン編集部,秋山瑞人,冲方丁,海猫沢めろん,桜坂洋,新城カズマ,西島大介,長谷敏司,元長柾木出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2010/02/10メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 364回…

ロシアの南 (ヴァルーシア)

サポーターサイト向けのウェブノベルが送られてきた。レオとリザの話なのでちょうどよかった。しかもなぜか1830年頃のオデッサ。なんかあったっけ・・・。オデッサは1900年代の戦艦ポチョムキンのあれとか1920年代のセラピオン兄弟派とか十二の椅子とかまで…

引越しとか

いよいよ生活の転機が現実のものとなってきて、何度もの送別会やら挨拶回りやら残業やらでへとへとになって、帰宅してもぼんやりネット巡回やらエッチな絵を眺めるだけという怠惰な日々。楽に行こうとすればそれが一番なんだけど、何にも日記を書かないと何…

к больному вопросу... (あと衰退5巻)

自分の好きなものとどう付き合っていくかというのは、ただ夢中になっていた一番幸福な時代を過ぎてから問題としては立ち上がってくるのだろうけど、一度立ち上がってしまうと後戻りはできず、あるべき姿とのギャップにどう対処するかということにかなりのエ…