少女

魔女こいにっき (75)

「物語」というのは便利で安易な言葉で、僕もエロゲーの感想でしょっちゅう使っている。あえて一歩踏み込んでみると、これは「語られたもの」であり、語るというアクションを意識させるものであり、実際に起こった出来事やその論理よりもむしろそれが語られたと…

Pretty x Cation (45)

エロゲーを海外では「デート・シム」ということがあるそうで、それを聞いたときには自分がパソコンでデートの練習をしているかのようなまとめ方に反感を覚えたものである。エロゲーが物語を失ったとき、残ったのはヒロインの出現先や趣味を追いかける作業と…

翠の海 (65)

翠色は寒くて温かい。 すべてが終わって重苦しい記憶と汚れた手が残されても、みちるはやってきたことを後悔せずに、精一杯やり通したことと良い出会いがあったことに感謝しているというのがありがたい。大人がいない舞台、大人がお金だけ出したゴミ捨て場の…

コトバの消えた日 (75)

きれいに収めてしまった終盤の展開の是非はともかく(まさか露出ゲーで花散谷山人考に繋がるモチーフが出てくるとは思わなかったが)、露出をめぐる味わい深いお話だった。 露出では視覚が圧倒的な優位にあり、その意味では画面を介してヒロインと接するエロ…

星継駅疾走軌 (65)

穿った見方をするなら、時間SFの魅力は隔てられることにあるのであって、年代記風に点描するならばまだしも、語りの欲望にとり憑かれてその溝を取り払ってしまう邪道は偽物をしか生み出せず、キモくしかあれないということか。 困ったのは、苦手な野月まひる…

ゴス道の乙女たち (70)

最近、上坂すみれさんがロシアに行って活躍したり(彼女の言い方だと「ゴスロリ」ではなく「ロリータファッション」なので別の言葉のようだし、「ロリータファッション」という言葉はロリータの由来を考えるとあまりにあからさまな気がして、ロリータという…

妹スパイラル (70)

ノイズが多すぎるこの世界から撤退したい。そのために働いて元手を作り、仕事を辞めて、引きこもれる準備をした。妹を迎え入れるのだ。実妹感が足りないことが欠点と見られる場合もあるのかもしれないが、実妹感を出すようなエピソードをいちいち作っていた…

Clover Heart's (65)

こうして美少女ゲームの感想を書くのもこれで200作目だそうだ。この世界を知ったのは確かFate/stay nightが出た10年前の冬だが、思えば遠くまで来たものだ。今ではもう、2ちゃんねるのいろんな属性スレを見て勉強することも、秋葉原の紙風船やソフマップを…

ギャングスタ・リパブリカ (80)

僕らの欲望を巻き取る戦闘美少女たち。一見すると未来にキスをの地点から後退したようで面倒にも思われるが、エロゲーにおいて悪をやろうとすると、かえって見かけは真っ当になるということか。 まずは第2部の論戦を中心に各ヒロインに関して。 ゆとりは、自…

かみのゆ (65)

この前久しぶりに見返したNieA_7に続いてまた銭湯のお話。エロゲーの中でしかまともな風呂に入らないような野蛮人なので風呂にまつわることをほとんど何も知らないのだが、「いいお湯でした」というときの「いいお湯」とはどういうものなのだろう。神様たちによ…

運命が君の親を選ぶ、君の友人は君が選ぶ (60)

陰陽のような世界を読むための象徴体系を説く教書のような作品で、ドラマトゥルギーよりも教書としての完結性を優先させたかのような終わり方は、そういうものとしてみれば面白かったということも出来るかもしれない。終章「五蘊」では、誰とも添い遂げるこ…

Lovesick puppies (55)

ファンタジー要素がないゲームはやはりつらい。犬と戯れるように可愛い女の子と戯れるのを楽しむ病的なゲームをタイトルから期待していたところ、単に可愛い女の子に健全な説教をして保護者になってやるという無自覚に病的なゲームで、いちいちヒロインに「…

向日葵の教会と長い夏休み (75)

メーカーの先行作品をそれほどプレイしていないので勝手な解釈だけど、『素晴らしき日々』との連続性を何かと感じる作品だった。ひとつ挙げると、「それは、ささやかな――希望」というBGMで、これはすばひびの「夜の向日葵」のアレンジのようだった。日常の喜…

星継駅蒐集箱 (70)

宇宙の話で不思議なことのひとつは、「光年」という単位で、距離の単位のはずが何やら時間の話になっているみたいな感覚があり、膨大な距離というのは膨大な時間と結びついてしまうものなのだろうかと納得しそうになる。先に発売された擾乱譚の感想でも書いた…

夏空のペルセウス (65)

普段はあまり書かないようにしているが、まずは小言を少し。ワンアイデアの短編集程度のスケールなので時間の経過の中でヒロインとの物語を積み重ねることができなかった、というのはないものねだりになるか。技術的な部分では、目パチ口パクは絵の統一性を…

幻想世界マインディア (65)

子供の頃からの癖が輪をかけて強くなって、RPGでは戦闘を楽に進めるためにレベル上げに没頭して、パズル的な数字のやり取りをしている気分になって戦闘でエロさを味わう余裕が持てない。攻撃やダメージの効果音が鳴ると本当に暴力が振るわれているように思え…

夏服痴漢電車 (60)

メインヒロインの絵に惹かれて買ってそれなりだった。不満点はアヘ顔とかろれつが回らない喘ぎ声とか、下品系の抜きゲーの手法が採用されていたこと。せっかくの痴漢なのだから押し殺したエロさで押し通してほしかった。あとボリュームももう少しほしかった…

Garden (80)

キャラクターとしてはあざみんが、物語としての構成のよさでは小夜シナリオが一番のお気に入りだけど、ここはやはり絵里香を中心に感想を書いておこう。一番強烈で、作品の異常さを最も良く表しているように思えるから。 絵里香シナリオ(声なし修正版のみプ…

わーすと☆コンタクト (75)

読んでいて飽きないおもしろい文章だった。あえて大雑把に3つに分けると、1つめはテンポがよくて楽しい日常の掛け合い。声優さんたちもテキストや絵面の濃さに負けていなくてよかった。空と海がひとつながりになるような青さと明るい日差しとみかんの島、そ…

メルクリア (70)

メルクリアのちぐはぐな設定。ヴェネツィアをコピーしたような街並み、公用語は日本語でキリスト教はないのにサンマルコ広場はあるような、日本人にとっての観光地としてのインブルーリア、スパゲッティの種類のような魔法の名称。――こうした欠点でしかあり…

秋空に舞うコンフェティ (60)

季節が4つしかないかのように考えることからして不正確ではあるけれども、とりあえずそういうことにしておくと、秋という季節はほかと比べてどうなのだろうか、なぜ「秋ゲー」はあまり存在感がないのだろうかと問うてみると、エロゲーが持つ大きな問題系のひ…

Love x Evolution セツ (50)

<・・・>それにペトロニウスの時代に爛熟の域に達したラテン語は、この頃から分解の一途をたどりはじめていた。キリスト教文学の登場は新しい思想とともに、新しい言葉、まだ用いられたことのない構文、未知の動詞、微妙な意味をふくんだ形容詞、当時まで…

KISS+100 KISS特区、始動せり (70)

Kiss x 500は時々思い出しては進めしているうちにもう3年くらい経ってしまい、選択肢が多すぎてどのヒロインを攻略しているのか忘れてしまい、いくらテクストが面白くてやるたびに笑わされることがあっても、さすがにテンションが落ちてしまいそろそろ攻略際…

りとる天使 〜カナタはみんなのヌキヌキえんじぇる〜 (65)

一般論として、世のファンディスクや続編と呼ばれるものが本編との設定的な整合性を壊さないよう配慮されたものであればあるほど、読んでみると安心感はあるものの物足りなさを感じずにはいられない。新しい境地が切り開かれないと読み応えを感じられない。…

不死鬼譚きゅうこん 千年少女 (45)

すっかり頭がいかれてしまったようで、非18禁作品とは分かっていながらも、濡れ場シーンでブラックアウトして事後描写だけされると、出来るはずだったセックスを主人公に奪われたような、寝取られ感とでもいえるような感覚を味わって少し悔しい。非18禁的寝…

不良にハメられて受精する巨乳お母さん (60)

不良にハメられて受精する巨乳お母さん 〜イキ地獄に堕ちた家族のゲーム〜。この語義的にも文体的にも激しく露悪的なタイトルが、あの誇り高い水仙花に連なる作品の名前なのかという感慨。 甘えむの感想でも書いたとおり、自分はお母さん属性が苦手なので正…

あまつみそらに! (60)

瀬戸内海の島には従姉妹の三姉妹が住んでいて、小学生の頃には毎年夏休みに帰省していた。祖父母が亡くなった中学生以降はあまり帰っていないのがもったいないけど、あの強い日差し、黄色い砂の散る坂道、その脇の水路にいるカニ、エアコンが普及していなか…

星継駅擾乱譚 (70)

絵画っていうのは空間も時間も自由につなげられる空間芸術ですねという意味において、絵画的というか換喩的な楽しさを味わえる作品だった。 冷静に考えるとどこかで見たことがあるような設定や展開をつなぎ合わせたような話であるのに、読み進めているときは…

J.Q.V 人類救済部 (75)

初読時には複雑で頭に入りきらない叙述トリックがあったり、夏コミ追加エピソードが出る予定だったり、クリアから数日たってしまったりしたため今は満足のいく感想を書けなさそうだけど、それでもとりあえず一言。 作中でも言及あったように、主人公の言動の…

いきなりあなたに恋している (70)

タイトルからしていい加減な肩のこらないキャラゲーだけど、思いのほかしっかり作ってあってさすが素晴らしき日々を出したメーカーだった。シナリオが云々みたいなのに関しては特に言うことはなく、どのヒロインのルートも飽きさせずコンパクトにまとまって…